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手磨き技術を超える液浸顕微鏡用メタレンズ

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June, 5, 2017, Cambridge--工学・応用物理学ハーバードJohn A. Paulson校(SEAS)の研究チームは、液浸顕微鏡向けに初のフラットレンズを開発した。このレンズは、どんな液体向けにも設計できるものであり、コスト効果が高く、造りやすい。高価で数世紀の歴史を持つ液浸顕微鏡用手磨きレンズの代替となる。
 論文の第二著者、SEASのFederico Capassoによると、この新しいレンズは、数世紀にわたり利用されてきたレンズ磨き技術の欠点と課題を克服する可能性がある。
 光が対象に当たると散乱する。光学顕微鏡は、一連のレンズを通してその散乱光を集め、それを画像に再構成することによって機能する。しかし、対象物の微細な形状情報は、収集するには大きすぎる角度で伝搬する散乱光の一部から得られるものである。対象物を液中に浸すと角度は縮小し、これまで不可能だった光を捉えることができ、顕微鏡の解像力が向上する。
 この原理に基づいて、液浸顕微鏡は、通常水か油の液層を標本スライドと対物レンズの間で利用する。これらの液体は、自由空間よりも高屈折率であるので、使用する液体の屈折率に相当する倍率で空間解像度が向上する。
 液浸顕微鏡は、全ての顕微鏡同様、一連のカスケードレンズで構成されている。フロントレンズとして知られる第1レンズは、最も小さく最重要コンポーネントである。サイズはわずか数㎜であるので、これら半球レンズは、完全に保存された雨滴のように見える。
 独特の形状であるので、ハイエンド顕微鏡用のほとんどのフロントレンズは手磨きで造られる。この工程は、当然高価であり、時間がかかり、2、3の特殊な屈折率の浸液でのみ機能するレンズを製造する。したがって、1つの標本が血液ともう1つの水面下にあると、2つの異なるレンズを手工業で造る必要がある。
 この工程を簡素化しスピードアップするためにSEASの研究チームは、ナノテクノロジーを使ってフロント平面レンズを設計した。これは、多様な屈折率の異なる液体に向けて容易に調整、製造できるものである。レンズは、二酸化チタンナノフィンアレイでできており、シングルステップリソグラフィ工程を使って製造される。
 この工程を使い、研究チームは、いかなる浸液にも調整できるだけでなく、多様な屈折率の多層にも調整できるメタレンズを設計した。これは、皮膚のような生物学的材料のイメージングにとっては特に重要である。