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レーザパルスで未来の超伝導を解明

May, 22, 2017, Trieste--室温超伝導の研究で前進があった。凝縮系物理学と材料科学の最先端の実験で、効率的なエネルギー利用の夢が実現可能であることが明らかにされた。イタリア国際先端研究校(SISSA)、Università Cattolica di BresciaとPolitecnico di Milanoをリーダーとする国際的研究チームは、適切に調整されたレーザパルスを使い、銅、酸素およびビスマスを含む化合物の電子の相互作用を撮った。研究チームは、電流が抵抗なく流れるための根本的な前提条件である、電子が相互に反発しない条件を確認することができた。この研究は、エレクトロニクス、診断および伝送アプリケーションで超電導材料開発のための新たな展望を開く。
 いわゆる非平衡状態の研究を可能になする高度なレーザ技術を使い、研究チームは特殊な材料の特性を理解するための極めて画期的な方法を見出した。SISSAチームは、その研究の理論面を担当し、Università Cattolica del Sacro Cuore (Brescia) とPolitecnico di Milano I-LAMP研究所は、実験的側面をまとめた。
「日常的技術で超伝導を利用するための最大障害の1つは、最も有望な超伝導が高温で絶縁体に変わる傾向があり、低ドーピング濃度でその傾向がある。これは、電子が相互に反発し、ペアとなって電流の方向に移動しないからである」と研究者は説明している。この現象の研究のために、研究チームは特殊な超伝導体に焦点を合わせた。これは極めて複雑な物理的化学的特性を持ち、銅と酸素を含む4つの異なるタイプの原子で構成されている。「レーザパルスを用いて、その材料を平衡状態から追い出した。次に、電子の相互作用を特徴づけ、同時に材料を平衡状態に戻す成分を超短パルスで解体することができた。比喩的に言えば、異なる瞬間にその材料の異なる特性の異なる一連のスナップショットを撮るようなものだった」。
 このアプローチにより研究チームは、この材料の電子間の反発、したがってその絶縁特性が室温で消えることを確認した。「それは非常に興味深い観察である。これが、ある材料を超伝導に変える根本的な前提条件だからである」。この成果の次のステップは何か。「この材料を出発点として、例えば、その化学組成を変えることができる」と研究チームは説明している。室温で超伝導を作り出す前提条件が存在することを発見できたので、今度は正しいレシピを見つけ出すために自由に使える新たなツールを手にしている。いくつかの成分を変えることで、近い将来に正しい化学式に到達する可能性がある。
(詳細は、www.sissa.it)