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産総研と九大、次世代有機EL用発光材料の発光メカニズムの謎を解明

May, 12, 2017, つくば--産業技術総合研究所(産総研)分析計測標準研究部門ナノ分光計測研究グループ 細貝拓也研究員、松﨑弘幸主任研究員と、九州大学(九大)最先端有機光エレクトロニクス研究センター 中野谷 一准教授、安達千波矢教授らは共同で、次世代型の有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子用の発光材料として注目される熱活性化遅延蛍光(TADF)を出す分子(TADF分子)の発光メカニズムを解明した。
 有機ELは、有機分子が電流によってエネルギーの高い励起状態になり、それがエネルギーの低い基底状態に戻る際に発光する現象を利用している。TADFは、室温の熱エネルギーの助けを受けて有機EL分子が放出する蛍光のことで、現在の有機ELに不可欠な希少金属が不要なことから低コスト化、高効率化の切り札とされている。TADF発光には分子の二つの励起状態が関わり、それらの状態間のエネルギー差ΔESTが室温の熱エネルギー近くまで小さいほど、発光効率が高いと考えられている。しかし、室温の熱エネルギーではTADFの発光が困難なはずの分子でも、100 %に近い高い発光効率を示す事例が報告されるようになり、発光メカニズムの詳細な解明が求められていた。
 産総研が開発した先端分光技術を駆使して、九大が開発したさまざまなTADF分子の発光過程を調べ、TADF発光メカニズムの詳細を解明し、発光効率を大幅に高める分子構造の特徴を突き止めた。今回解明したメカニズムは、次世代有機EL材料の新しい設計指針として貢献するとともに、次世代材料を用いた低コストで高効率な有機ELディスプレイや有機EL照明などの普及への貢献が期待される。
 この成果の詳細は、Science Advancesに掲載された。