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Science/Research 詳細

LLNL、世界最高平均パワーペタワットレーザシステムを開発

February, 15, 2017, Livermore--ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)で開発されていた高繰り返しレートペタワットレーザシステム(HAPLS)が先頃大きな目標を達成。全ダイオード励起、高エネルギーフェムト秒レーザシステムの連続動作を実証した。
 このマイルストーン達成で、同システムはヨーロッパ、チェコ共和国にあるELIビームライン(Extreme Light Infrastructure Beamlines)に引き渡されて導入される段階となった。
 HAPLSはダイオード励起ペタワットレーザの世界記録を達成。3.3 Hz繰り返しレート(1秒に3.3回)で、エネルギーは16ジュール(J)、28フェムト秒パルス幅(~0.5ペタワット/パルスに相当)。
 わずか3年でHAPLSはコンセプトから完全集積、記録破りの製品となった。HAPLSは新しい世代のアプリケーションを実用化するダイオード励起、高エネルギー、高ピークパワーレーザシステムであり、DOEの核融合レーザR&Dを起源とする画期的な技術をもつレーザシステムである。
 LLNLの先端フォトン技術(APT)プログラムディレクタ、Constantin Haefner氏は、「高繰り返しレートHAPLSシステムは業界にとって大きな分岐点である。HAPLSは、真にアプリケーション実行できる繰り返しレートを提供する初のペタワットレーザである」と語っている。
 今まで、シングルショットレーザの概念実証実験は変革的応用領域を垣間見せたが、こうした領域を商用探求するには高繰り返しレートのペタワットレーザが必要になる。
 LLNLの数十年の先端的レーザR&Dを利用することで、HAPLSと他のペタワットレーザとを区別する重要な進歩に到達した。そうした進歩に含まれるのは、前例のないパルスレートを維持しながらペタワットパワーレベルを達成するHAPLSの能力、世界最高ピークパワーのダイオードアレイの開発、これはリバモアが開発したパルスパワーシステムによるものである。10Hz繰り返しレートで最大200 Jを生成する励起レーザ、ガス冷却ショートパルスチタンドープサファイアアンプ、自動アライメント機能を含むハイレベルの自動化を備えた高度な制御システム、迅速レーザスタートアップ、パフォーマンストラッキングおよび装置の安全性、デュアルチャープパルス増幅高コントラスト短パルスフロントエンド、短パルスプリアンプ励起用のギガショットレーザ励起光源。加えて、HAPLSは、これまでに作製された中で最もコンパクトなペタワットレーザである。
 今後数カ月でHAPLSは、ELIビームラインに送られ、そこで同ファシリティのレーザビームトランスポートとコントロールシステムに組み込まれ、続いて完全設計仕様となるように調整される。10Hzで1ペタワットを超えるピークパワーのパルスを送出し、それ自身の記録を破って世界最高の平均パワーペタワットシステムになる。ELIは、2018年までにはHAPLSを国際科学ユーザコミュニティが利用できるようにする。そのレーザを使った初の実験が行われる予定である。
(詳細は、www.llnl.gov)