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実用的で多用途のマイクロ・オプトメカニカルデバイスを実現

January, 23, 2017, Washington--ブラジルのキャンピナス大学(University of Caminas)の研究チームは、光学的、機械的波の閉じ込めに微小シリコンディスクを利用する新しいタイプのオプトメカニカルデバイスを開発した。この新しいデバイスは、カスタマイズでき、商用製造工程に適合しているので、力と運動を検出するセンサの改善にとって実用的なソリューションとなる。
 オプトメカニカルデバイスは、光を使って運動を検出する。低消費電力で効率的な構成要素として、スマートフォンの方向と運動を検出する加速度計に利用することができる。あるいは、事故後瞬時に展開する車のエアバッグのトリガーとなる。研究者は、こうしたデバイスの小型化、運動や力、振動に対するさらなる感度向上のために研究している。
 非常に小さな動きを見分けるには、光波と機械的な波との間の極めて高いレベルの相互作用、結合を必要とする。光波は検出に使用され、機械的な波は運動に結びついている。キャンピナス大学の研究チームは、新しい標的ディスクデザインは、これまでに報告された最高のラボベースのオプトメカニカルデバイスの結合効率に匹敵する効率を達成したと報告している。
 最先端のオプトメカニカルデバイスは、入手が容易でない機器を利用して造られているが、新しいブルズアイ・ディスクデバイスは、標準的な商用工場でCMOSチップ製造に使用される同じプロセスにより製造された。
 ほとんどのオプトメカニカルデバイスは同じメカニズムを使って光波と機械的な波を1つの材料内に閉じ込め、波はそこで相互作用する。しかし、このアプローチは、光と機械的動きの両方を閉じ込める機能の材料が限られているため、オプトメカニカルデバイスの性能を制限する。
 「光と力学の閉じ込め法則を分離すると、どんな種類の材料でも利用できるようになる。また、独立にデバイスを調整して、ある光周波数で、また機械的な波周波数で動作するようにすることができる」とThiago P. MayerAlegre研究リーダーは説明している。
 研究チームは、幅24µmのシリコンディスクを作製した。これは、別々のメカニズムを使って光波と機械的波を閉じ込める。光は全反射による閉じ込め、つまり光はディスク端で跳ね返り、円形リングの外側部分を周回する。研究チームは、円形グローヴをディスクに加え、それが標的に見えるようにして機械的な動きを外側リングに局所化し、そこで光と相互作用することが可能になる。そのディスクは、ディスクの動きを可能にする中央の台座によって支えられている。
 「他のデバイスでは、光波を閉じ込めるために放射状グローヴが使用されてきたが、われわれはこのアイデアを採用して、それを機械的な波に適用した。われわれのオプトメカニカルデバイスは、機械的波と光の波を結合するために放射状グローヴを使う初めてのものである」とAlegre氏は説明している。
 ブルズアイ・ディスクデザインの多様性は、それが運動のセンシング以外にも多くのことに使用できることを意味する。例えば、レーザ発振する材料でディスクを作ると、パルスあるいは運動で制御されるパワーレベルのレーザを造ることができる。デバイスは、非常に小さく、周波数の高い通信応用の光変調器にも利用できる。