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繊維強化プラスチックの効率的欠陥修復

January, 16, 2017, Hannover--繊維強化プラスチック(FRP)は、航空産業や自動車産業で頻繁に使用されている。しかしこれらの複合材料で造られた部品の修復は、部品取替えと比べてメリットがないことが多い。FRP部品の寿命を延ばすために、またそれらの環境効率を高めるためにLZH(Laser Zentrum Hannover e.V)とApodius GmbHは、画期的なレーザベースの修復工程とファイバレイヤ方向の新しい計測機器を組み合わせることを考えている。
 FRPピースの欠陥は、製造または運用に関連する可能性がある。修復のコスト効果は、欠陥部分の形状、ツールや修復工程、自動化可能性に依存する。レーザ接合とそれに続くパッチ修復を用いることで、FRPピースは適切なファイバ方向で修復可能である。損傷を受けた材料は、連続的に、または段階的にレイヤーごとに除去する。正確な調整置き換え、つまりパッチは欠陥領域付近に対して用いられる。その後で、樹脂を使って新たなファイバ層に浸透させて固める。こうして修復領域は高強度になる。

ファイバ層方向検出用光学システム
 レーザ接合の課題は、損傷ファイバ層の除去が正確で取り残しがないことである。これは多様な厚さの複合材料では一層難しくなる。広範囲に、つまり加工部品の全体、あるいは局所的、極めて限定された範囲だったりするからである。露出材料の繊維方向を認識するための光学システムがソリューションを提供する。Apodiusの既存のシステム技術、これはすでに乾いた半完成ファイバ製品の製造に用いられているが、これが技術基盤として利用される。現在、こうしたファイバの方向計測機器の開発が進められており、これによってプラスチック母材の繊維強化材料でできた加工品の多様な層厚を検出することができる。

 LZHのスキャナベースのレーザ接合工程と組み合わせることで、新しいファイバ方向計測ユニットは、機械的なアブレーションプロセスと比べて高い形状解像度を達成する。「画像認識プロセスの速度により、計測データはリアルタイムで評価可能である。したがって接合プロセスを制御する要件が満たされ、工程の自動化目標が著しく近づく」とLZHのコンポジットグループ長、Dr. Peter Jäschkeは説明している。
 LZHとApodiusの目標は、FRP加工品の欠陥をより経済的に修復することである。こうして多くの場合、部品の置き換えを避けられるようになる。「メーカーにとってはこれは時間とコストの節約である。部品の寿命が長くなればなるほど、エコロジーバランスやリソース効率も改善される」とLZHの役員、Dr. Dietmar Krachtはコメントしている。