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ペロブスカイト太陽電池、劣化機構の解明で新境地への飛躍となるか

January, 12, 2017, 沖縄--沖縄科学技術大学院大学(OIST)エネルギー材料と表面科学ユニットでは、より高性能な太陽電池の開発に役立てようと、ペロブスカイト太陽電池(PSC)の急速な劣化要因を調査している。
 ペロブスカイトは結晶構造の一種で、様々な化学結合により形成することができる。太陽電池に適用できる数あるペロブスカイト材料の中でも、最も広く研究されているのが、ヨウ化鉛メチルアンモニウム(MAPbI3)。この材料を使った太陽電池の変換効率は20%を超え、Si太陽電池に比べて低コストでの製造が可能。しかし、耐用年数が短いことから、Si太陽電池に替わって実用化されるまでには至っていない。
 Nature Energy に掲載された論文の筆頭著者、シェンハオ・ワン博士は、MAPbI3ペロブスカイトの劣化を防ぐ方法は存在しない可能性があると述べている。ヨウ素を含むペロブスカイトは、太陽電池作動中にガス状ヨウ素(I2)を放出し、それがペロブスカイトのさらなる劣化要因となっていることを今回の研究で明らかにした。これまで多くの研究者が、空気や湿気、熱といった外的環境をMAPbI3の劣化要因として挙げてきたが、それらの要因を全て取り除いてもなお太陽電池の劣化が止まなかったことから、原因はPSCそのものが有する特性にあると、ワン博士は考えた。
「ヨウ素を含むこれらのPSCはおのずとヨウ素蒸気にさらされるため、MAPbI3ペロブスカイト化合物からヨウ化鉛(PbI2)へと急速に分解される」と、ワン博士は説明している。「ヨウ素の蒸気圧は周りの圧力よりも高いので、ペロブスカイト材料の他の部分にもすぐに浸透し、太陽電池全体の性能を劣化させてしまう」。
 とはいえ今回の研究結果により、ペロブスカイトが有望な太陽電池材料の対象から除外されるというわけではない。「様々な望ましい光起電力特性に加え、ヨウ素含有量を少なくしたもの、あるいはヨウ素放出が原因で生じる劣化に耐えられる構造を備えた新しい材料が必要であるということが、この実験で明らかになった」と、エネルギー材料と表面科学ユニットの主宰者で本論文の責任著者であるヤビン・チー准教授は説明している。
 OISTの研究者らは、より優れた変換効率と耐久性を備え、低コストで製造できるペロブスカイト材料を見い出すため、様々な材料の研究を続けている。
(詳細は、www.oist.jp)