コヒレント特設ページはこちら

Science/Research 詳細

ST12-ゲルマニウムの半導体および光学特性を特定

January, 6, 2017, Washington--ゲルマニウムは、周期表の同グループのシリコンほど有名ではないかもしれないが、次世代エレクトロニクスやエネルギー技術における潜在的用途は大きい。
 特に、研究室で超高圧条件で合成できるゲルマニウムの形態への関心は大きい。とは言え、実用的アプリケーションでゲルマニウムの極めて有望な形態の1つ、ST12については非常に小さなサンプルサイズしか得られず、その特性を厳密に確認するにはこれは小さすぎる。
 このゲルマニウム形態についての新論文の筆頭著者、カーネギー研究所(Carnegie Insittution) のZhisheng Zhao氏は、「ST12ゲルマニウムの特性を突き止める実験的、理論的試みから非常に多様な結果が出ており、特に伝導性が注目される」とコメントしている。
 研究チームは、そのゲルマニウムの特性と有用な性質を確認できるだけの大きなサンプルサイズのST12を作製することができた。研究成果は、Nature Communicationsに発表された。
 ST12ゲルマニウムは正方構造で、その名ST12の意味は「12原子を持つ正方晶」。これはゲルマニウムに通常の大気圧の138倍の圧力(14ギガパスカル)をかけ、次いでそれを室温でゆっくり減圧することで得られた。
 作製したST12ゲルマニウムのミリメートルサイズは、長年議論されたその特性を確認するために様々な分光技術を利用して研究できる程度に大きなサイズだった。
 最も一般的なダイヤモンド立方型ゲルマニウムと同様に、ST12は、いわゆる間接バンドギャップを持つ半導体であることが分かった。半導体材料が比エネルギーを得ると、束縛電子をより高いエネルギー準位、伝導状態に上げることができる。伝導状態に上げるのに必要なエネルギーは「バンドギャップ」と規定されている。直接バンドギャップ材料は光を効果的に吸収、放出できるが、間接バンドギャップ材料はできない。
「われわれのチームは、ST12の光学バンドギャップ、電気的特性と熱的特性を定量化することができた。ここでは可視光エネルギーが材料によって吸収される。このことは、実用的アプリケーションに向けた、その潜在性の判定に役立つ。われわれの成果は、そのバンドギャップの大きさのためにST12ゲルマニウムが、すでに同じ用途で用いられているその元素のダイヤモンド立方型よりも赤外検出やイメージング技術に適した材料である可能性を示している」と研究リーダー、Timothy Strobel氏はコメントしている。