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光ファイバセンサの超高速化に成功

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December, 21, 2016, 東京--東京工業大学となどの研究チームは、光ファイバ中の変形(伸び)と温度を検出できる分布型光ファイバセンサの性能向上に取り組み、片端からの光入射とリアルタイム動作の両立に世界で初めて成功した。
 これまでの手法は、光ファイバの両端から光を入射していたが、センサの敷設に手間がかかるばかりか、光ファイバが途中で1か所でも破断すると動作が停止してしまう難点があった。今回、位相検波技術に基づいて、片端からの光入射による分布型光ファイバセンサの超高速化に成功し、これらの問題点を克服した。その結果、従来法の5,000倍以上となる測定速度である100 kHzのサンプリングレートを達成し、たわみ変形の伝搬を追跡することでリアルタイム動作を実証した。
 開発されたシステムは、防災・危機管理技術としての応用範囲を広げ、生活の安全性向上に寄与するとともに、ロボットの新たな「神経」としての応用も期待できる。
 研究成果は、Nature系の光学専門誌Light: Science & Applicationsに掲載された。

従来のシステムでは、ブリルアン散乱スペクトル全体を電気スペクトルアナライザの周波数掃引機能を用いて取得した後、そのピーク値を与える周波数(BFS)を算出していた。その結果、サンプリングレートは19 Hzに制限されていた。電圧制御発振器を用いて周波数掃引を行うことで、高速なスペクトルの取得を実現したが、そのままではBFSの算出が速度を制限してしまう。そのため、さらに取得したスペクトルを狭帯域通過フィルタ(BPF)により正弦波に近似して、排他的論理和(XOR)の論理ゲートと低域通過フィルタ(LPF)を用いて位相検波を行った。これにより、BFSと1対1対応となる量を直接取得することが可能となった。結果として、100 kHzを超えるサンプリングレートを達成することができた。
 反射光の解析に位相検波を導入することで、片端からの光入射による分布型光ファイバセンサの超高速化に成功。これにより、光ファイバ中の任意の位置での伸びや温度変化を、1秒間に10万回測定できるようにした。これは従来法の5,000倍以上の速度。

まず、1 kHzの局所的な振動の検出に成功。次に、光ファイバをたわませて発生させた変形の伝搬を検出。以上により、リアルタイム動作が確認できた。
 この手法は、伸び縮み(振動)や温度変化の分布情報を片端からの光入射で、リアルタイムかつ高空間分解能で取得できるため、様々な構造物(ビル・橋梁・トンネル・ダム・堤防・パイプライン・風車の羽根・航空機の翼など)に関わる防災・危機管理技術として幅広く活用することができる。また、アームに巻き付けることで、任意の位置で接触や変形、温度変化を検出するロボットの新しい「神経」としての応用も期待できる。

研究チームの構成は、東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所の水野洋輔助教と中村健太郎教授、日本学術振興会特別研究員PDの林寧生博士、ファナック株式会社 サーボ研究所の福田英幸氏(元東京工業大学中村研究室所属)、韓国中央大学 物理学科の宋光容教授。