October, 21, 2016, Atlanta--ミズーリ工科大学(Missouri University of Science and Technology)の研究チームは、単層ナノスケール金属膜だけを使用して3Dフルカラーホログラフィック画像構築で新たなアプローチを開発している。この研究は、3Dフローティングディスプレイを持つ携帯電話、クレジットカードに3Dセキュリティマーキングを印刷するなど、人々の日常生活を変える膨大な可能性を持つ。
ミズーリS&T機械・航空宇宙工学准教授Dr. Xiaodong YangとDr. Jie Gaoは、ACS Nanoに超薄型フルカラーホログラムを発表した。また、ナノメートルスケールのアルミニウム薄箔でフルカラーホログラフィック画像を再現するアプローチを説明している。
論文「フルカラープラズモン・メタサーフェスホログラム」で説明されている方法は、光の波面を操作できるメタサーフェスを持つ超薄型ナノメートルスケール金属膜の利用に関するものとなっている。研究チームのメタサーフェスホログラムは、1枚の35nm厚アルミニウム膜に微小な長方形の穴160×80nmが様々な方向に開けられており、集束イオンビーム・ミリングとして知られる微細加工プロセスで作製されている。
メタサーフェス構造面に赤、緑、青色レーザ光の相互作用による実験により、研究チームは「きれいで、鮮明なフルカラーホログラフィック画像を高解像度、低ノイズ」で実証した。3原色(RGB)を生成し、二次色シアン、マゼンタ、黄色と白色も生成した。再現されたホログラフィック画像を説明するために、文字“CMYW”、リンゴとRubikキューブを作成。メタサーフェスホログラムは、クレジットカード、セキュリティマーキング、生体医用イメージング、3Dフローティングディスプレイ、ビッグデータストレージなど将来のアプリケーションに有望である、と研究チームは考えている。
「ナノスケールスリットの配向角を調整することで、スリットを透過する位相遅延を完全に調整することができるので、可視光範囲全体で位相変調が可能である。さらに、単にスリットを含む、含まないとすることで振幅変調も達成できる。このホログラムは、ナノメートルスケールで振幅変調と位相変調の両方を持つので、高解像度、低ノイズのホログラフィック画像が再現可能である」とYangは説明している。
研究チームは、アルミの薄い層を通して様々な配向角で微小な長方形スリットを開けることでメタサーフェスホログラムを作製した。走査型電子顕微鏡(SEM)では、ホログラムは針先模様のように見える。
「ほとんどの設計で色が限定されている現在の既存メタサーフェスホログラムとは異なり、われわれの波長多重法は、さらに位相情報をホログラムに組込み、レーザ光の傾斜入射角照射を導入することで、ほぼ全ての可視光の再現に成功している。」と論文の共著者、Gao氏は説明している。