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初期認知症診断に爆発物検出技術が利用可能

October, 20, 2016, Adelaide--簡易爆発物(IED)検出技術が、認知症に関連する血流内のビタミン特定に利用できるようになる。アデレード大学(University of Adelaide)の研究チームは、2014年にIED検出法を開発した。これは爆発物残滓の存在判定に光強度を利用する。同じ方法が、ヒトの希釈血液内のビタミンB12を目立たせるために利用されるようになる。これは、認知症やアルツハイマ病の診断ツールとなる可能性がある。
 主席研究者Georgios Tsiminisによると、この技術は商用に向けてまだ改良中であるが、幅広く様々な分子の検出にも使用でき、他の病気の特定にも有用である。
 光を血液サンプルに照射すると、認知症に関連付けられるビタミンB12の量を計測できる。
「アルツハイマ病の診断に適用される通常の方法に効率的でコスト効果の高い代替になる」。
「センサは、健全な老人のB12を計測しトラッキングするための診断現場(POC)ソリューション向け第1段階である。これにより医師は、B12のレベルをモニタし、B12の欠乏が検出されると直ちに介入することができる」。
 その新しい検出技術は光ファイバとレーザを使ってある分子のシグネチャを集める。
 光が希釈血液の小ビンを透過すると、B12分子が振動する。光ファイバがサンプルを構成する分子の振動からシグネチャを集め、それを分光計に送る。するとデバイスがシグネチャを分析し、研究者は対応する分子を特定できる。
 Dr Tsiminisによると、光計測は血液準備後わずか30秒程度しかかからないが、通常のビタミンB12検出法は、ほぼ2日かかる。
 ビタミンB12は、非常に複雑なビタミンであり、神経組織の機能と健康、脳の機能、赤血球で不可欠である。
 米国国立衛生研究所(NIH)は、14歳以上の人は1日にビタミンB12を約2.4マイクログラム(mcg)消費し、妊婦は2.6mcg、授乳する女性は2.8mcg消費すると主張している。
 ビタミンB12は、ほとんどの動物製品に見つかるが、一般には植物性食品には見つからない。
 WHOによると、世界中で認知症の人々は4750万人以上であり、アルツハイマ病が約60-70%を占める。
 Dr Tsiminisは、「次のステップは、感度限界を減らすことであるが、もっと広範囲の人々にこれが適用できることを示すには、様々な血液タイプに渡って一段と広範囲の研究が必要である」と話している。