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TU Wien、超高エネルギーで超短パルスレーザを生成する技術

October, 6, 2016, Vienna--ウィーン工科大学(TU Wien)の研究チームは、超高速レーザパルスを圧縮する方法を見出し、ピークパワー1/2テラワットを達成した。これは、数100の原子炉の出力に匹敵する。
 TU Wienフォトニクス研究所の研究チームは、超高エネルギーで赤外光の超短パルスを放出する装置を構築した。
 ブレイクスルーについて、以下のように説明されている。固体媒体を通して赤外領域の高エネルギーパルスを送ることによって、パルスは時間的、空間的に圧縮できる。エネルギーはほぼ同じままにとどまるが、今度はもっと短いパルス幅となり、結果的にピークパワーが1/2テラワットになる。このパワーは、数100の原子炉に匹敵するが、原子炉とは異なり、圧縮されたレーザパルスはわずか30fsの時間幅である。
「ある条件下で、レーザパルスは自己圧縮し、一段と短パルスになる。これはレーザ科学ではよく知られた現象だ。しかし今日まで、超高強度で、固体媒体での自己圧縮は不可能であると考えられていた」とAudrius Pugzlysは言う。
 単純なレーザポインタの光とは違い、超短レーザパルスは、1つの特別な色を持っているのではない。異なる波長のスペクトルの混合、この場合では中心が3.9µm付近で、長い赤外領域であり、ヒトの目には見えない。
 真空では、光は、その波長に関係なく常に同じスピードで進むが、これは固体を進む光の場合は正しくない。「材料により、レーザパルスのある成分が他よりも速く進む。この効果をうまく利用すると、レーザパルスが圧縮され、材料を伝搬するだけでパルスはさらに短くなる」とSkirmantas Alisauskasは説明している。
 しかしこの技術は常に適用できるわけではない。「超高強度のレーザパルスが材料を伝搬すると、そのビームは無秩序に崩壊してたくさんの別々のフィラメントになる。それは、自発的に枝分かれする稲妻のようなものである。枝分かれした個々の稲妻には元のビームのエネルギーの小さな部分しかなく、結果としてのレーザビームは、もはや先進的な強い場のレーザ実験には使えない。

 研究グループは、モスクワ国立大学の研究者と協力して、ビームをフィラメントに崩壊させることなく、自己圧縮し強いピークパワーになる条件を特定した。「結論から言うと、われわれは2つの異なる長さスケールを扱っている」とValentina Shumakovaは言う。「不要なフィラメンテーションの長さスケールは、自己圧縮が起こる長さよりも長い。したがって、パルスは圧縮されるがフィラメンテーションがまだ始まらないパラメータレジームを見つけることは可能だ」。レーザパルスのパワーは、フィラメンテーション閾値よりも10000倍高く、それはまだ崩壊しない。
 研究チームは、わずか数ミリ幅のYAG結晶を用いた。結果は特筆すべきものである。結晶を通してレーザパルスを送ることで、その時間幅は94fsから30fsに縮小。そのエネルギーは、ほぼ同じままであり、パワー(時間当たりのエネルギー)は、3倍に増加し、ほぼ1/2テラワットになる。「パルスが非常に短いので、その超ハイパワーが、多くの素晴らしい実験、恐らくレーザ科学における新技術にも扉を開くことになる」とAudrius Pugzlysはコメントしている。