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KIT、光データ伝送用の世界最小のフォトディテクタ

August, 5, 2016, Karlsurhe--カールスルーエ工科大学(KIT)の研究チームは、従来のフォトディテクタ(PD)よりもはるかに小サイズの新タイプPDを開発した。これは1㎜2の100万分の1以下であり、データ伝送レートは全く犠牲になっていない。
 新開発のフォトディテクタ、光データ伝送用途で世界最小のPDは、集積光回路向けに使用でき、光通信システムのパフォーマンスを大幅に向上させる。小スペースしか必要としないので、多くのディテクタが光チップ上にアセンブリできる。実験では、データレートは40Gb/sに達した。「このコンポーネントは、1秒以下でDVD丸ごとのコンテンツを伝送できる」とKIT物理学者、Sascha Mühlbrandtは説明している。同氏は、KITのフォトニクス&量子エレクトロニクス研究所、マイクロ構造技術研究所で研究を行ってきた。「これは、このデータレートに達した過去最小のディテクタである」と同氏は強調している。高速フォトディテクタはPIPED(プラズモン内部光子放出ディテクタ) と言われており、Optica誌に発表されている。
 サイズ縮小の特別な利点は、フォトディテクタが同じCMOSチップ上で電子コンポーネントと集積できること。「コンピュータで電子チップ間の高速情報転送用の新しいプラズモンコンポーネントの実現は、電子と光のコンポーネントの利点を統合し、同時に伝送レートは同等か、それ以上になる」KITのマイクロ構造技術研究所、Manfred Kohl教授は言う。このフォトディテクタは、NAVOLCHI (Nano Scale Disruptive Silicon-Plasmonic Platform for Chip-to-Chip Interconnection)プロジェクトで開発された。7th EU研究フレーワークプログラムで、情報通信技術分野のKITの3年プロジェクトは、約50万ユーロの助成金を獲得している。
 このハイパフォーマンスフォトディテクタは、表面プラズモンポラリトン、金属-誘電体界面の高集積電磁波を使い、微小スペースでオプティクスとエレクトロニクスを統合する。「この新しいクラスのプラズモントランシーバは、光電流を生成するメカニズム、すなわち金属界面で光周波数と直接的な信号変換である。このプロセスは、内部光子放出として知られいる」(Mühlbrandt)。光吸収と光の電気信号への変換効率向上のために荷電キャリアがチタン-シリコン遷移で生成され、もう1つの金-シリコン遷移で取り込まれる。効率は特別なディテクタ形状によるものである。両方の金属-シリコン遷移は、1mの1000億分の1以下しか離れていない。
 研究チームは、PIPEDコンセプトは将来の光データ伝送システムにとって重要であるばかりか、ワイヤレスデータ通信にとっても重要であると考えている。「この新しい光信号検出アプローチは、テラヘルツ領域の帯域の電磁信号の生成と検出も可能にする」とKITのChristian Koos教授は言う。「プラズモンコンポーネントはワイヤレス高速通信でも使え、最大1Tb/sの伝送レートを可能にする」と考えられている。
(詳細は、www.kit.edu)