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可搬機器組込み可能の超薄型フラットレンズ

July, 5, 2016, Cambridge--自然界の多くのものは、幾何学的にキラル(対掌性)であり、その鏡像に重ね合わせることができない。例えば手、右手と左手は鏡像であるが、右手を左手に移植すると問題が生ずる。DNAやアミノ酸を含め、分子の中にはキラルなものが存在する。
 光もキラルになり得る。キラルな光では、電磁波の振動方向、つまり偏光が時計回りか反時計回りに回転する。キラル分子でできた物質は、そのキラリティ(対掌性)に応じて光の反射の仕方が異なる。例えば、人工甘味料アスパルテーム(Aspartame)はキラルである。分子の一方のキラリティは甘く、他方は苦い。薬剤もキラルになり得る。
 しかし、偏光やスペクトル(色)情報を分解する現在のキラルイメージング技術は多数の階層式コンポーネントを必要とし、大きくて高価な装置になる。
Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences (SEAS)、ハーバード大学工学・応用科学の研究チームは、物体のスペクトル情報とキラリティの両方を同時にとらえることができる超コンパクトなフラットレンズを開発した。研究成果は、Nano Lettersに発表された。
 「単一の平面レンズとカメラで、他の光コンポーネントを使うことなく、初めてカイロプティカル(chioptical)特性が全可視光域にわたり調べることができる。われわれは、前例のないキラルイメージング能力を持つ、コンパクトで多機能のデバイスを実現するメタレンズの潜在力を実証した」と論文のシニアオーサ、Robert L. Wallace応用物理学教授はコメントしている。
 レンズは、ガラス基板上の2つの酸化チタンナノフィンアレイで構成されており、逆のキラリティの2つの画像を形成する。
 Capass研究室のポスドクフェロー、Wei Ting Chenによると、そのレンズの重要な特徴はサイズである。「キラルレンズは非常にコンパクトで、直径がわずか3㎜、髪の毛よりも薄いので、ポータブル機器に組み込むことができる」。
 また、ポスドクフェロー、Reza Khorasaninejadは、「超薄型面は画像を形成し、生物学的標本の偏光とスペクトル情報の両方を同時に解像できることを示した」と話している。