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ライス大学、サブマイクロチューナブル光アンプを発表

May, 11, 2016, Houston--ライス大学(Rice University)フォトニクスの研究チームは、新しいナノ粒子増幅器を発表した。この増幅器は、赤外光を生成し、1つの光出力を、第2の光を捉えそのエネルギーを変換することで増幅する。
 ライス大学ナノフォトニクス研究所(LANP)のイノベーションは、Nano Lettersに論文が掲載されている。デバイスはレーザのように機能するが、レーザが出力周波数固定であるのに対して、ライスのナノスケール「光パラメトリックアンプリファイア(OPA)」は、赤外スペクトルの一定範囲で周波数チューニングができる。
 「チューナブル赤外OPA光源は現在、10万ドル程度で、サイズはテーブルトップあるいはベンチトップである。われわれが発表したものは、原理的に同じ機能であるが1個のナノ粒子であり、直径が約400nmである」とLANPの前ライス院生、論文の筆頭著者、Yu Zhangは説明している。
 同氏の説明によると、パラメトリック増幅はマイクロエレクトロニクスで数十年前から使われている。2つの入力信号、1つは弱い、もう1つは強い信号、それに対応する2つの出力を必要とする。出力も強いものと弱いものであるが、より強力な入力、つまり「ポンプ」からのエネルギーを使って弱い入力「信号」を増幅し、それをさらに強力にして出力する。ローパワー出力、つまり「アイドラ」は、ポンプエネルギーの残余の部分を含んでいる。
 「光パラメトリック増幅器は、電気ではなく光で動作する。OPAsでは、強いポンプ光が弱いシード光を飛躍的に増幅し、同時にアイドラ光を生成する。ここでは、ポンプと信号光の周波数は可視で、アイドラは赤外である」とライスのSmalley-Curl Instituteディレクタ、新研究のリーダー、LANPディレクタ、Naomi Halasは説明している。
 ライスのデバイスのポンプレーザは固定波長であるが、信号とアイドラの周波数は両方ともチューナブルである。Halasによると、これは初のチューナブルナノスケール光源である。
 ブレイクスルーは、光活性化ナノ粒子の研究を専門にしているライスのSmalley-Curl Instituteの研究部門、Halas研究室の最新成果。金属ナノ粒子の中には、光をプラズモンに変換するものがある。これは粒子の表面を流体のように流れる電子の波。過去20年の多くの研究でLANP研究チームは、プラズモニクスの基礎物理学を研究し、プラズモン相互作用が、医療診断、ガン治療、太陽エネルギー収集、光コンピューティングなど多様なアプリケーションに利用できることを示した。
 LANPの専門の1つは、1つ以上の方法で光と相互作用する多機能プラズモンナノ粒子の設計。ナノスケールOPAプロジェクトでは、LANPのチームは、3つの光周波数と同時共鳴できる単一の粒子を作る必要があった。
 「OPAプロセス固有の非効率があるが、これを補うために、ポンプ、信号、アイドラ周波数で三重共鳴の表面プラズモンを設計した。その戦略により、幅広い赤外周波数でチューナブル発光を実証することができた。これは、その技術のさらなる発展のための重要なステップである」とZhangは語っている。