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Science/Research 詳細

光パターンを使って集積光回路を制御

April, 22, 2016, Bordeaux--サザンプトン大学(University of Southampton)とフランス、ボルドーの光研究所(Institut d’Optique in Bordeaux)の研究グループは、空間光変調の概念を集積オプティクスに適用することでシリコンチップの光制御に新たなアプローチを考案した。
 シリコンフォトニクスは、次世代オンチップ技術と光通信のバックボーンを形成しつつある。その狙いは、光インタコネクト、マイクロ波光回路、集積光センサを含む広範な新興アプリケーションである。
 フォトニックチップの機能は通常、設計によってハードウエアに組み込まれているが、再設定可能な光素子では光は柔軟にルーティングでき、プログラマブルな光回路で新しいアプリケーションが開かれる。
 従来の空間光変調器は、液晶やマイクロミラーをベースにしており、独立制御できるピクセルをたくさん持っている。この技術は、最近オプティクスに革命を起こし、イメージング、ホログラフィ、適応型オプティクス、不透明体を通した光の波面成形で多くのアプリケーションが生まれている。
 発表された成果によると、研究チームはマルチモード干渉計(MMI)デバイスを利用する。これは、チップ上で多様な信号を分離、再結合するためによく利用されている様々な集積光素子を形成する。MMIの形状は、製造段階でその特性をあらかじめ規定している。
 研究チームは、MMIを通過するマルチモード間の複雑な相互作用が動的に制御可能であることを示した。フェムト秒レーザによって誘導される局所的揺動がいっしょになって、伝送される光を効果的に成形する。これは、フリースペースオプティクスの波面成形に関係しているので、静的なシリコン素子の光を自由にルーティングでき、したがって、デバイスをフィールドプログラマブルフォトニクスで本当に必要とされている構成要素に変えることができる。
 サザンプトン大学ポスドク研究者、論文の筆頭著者、Roman Bruckは、「集積回路に有用な機能を広範に提供するチップ上のビームシェーピングでわれわれは非常に一般的なアプローチを実証した。集積空間光変調器は、従来のシリコンフォトニクスコンポーネントを多様な再設定可能な素子に変える」とコメントしている。
 この技術の実用的なアプリケーションには、オールオプティカル再設定可能なルータ、超高速光変調器、光ネットワーク用のスイッチ、マイクロ波光回路、フォトニックチップのウエファスケール光テストが含まれる。これらの考えを実用的なアプリケーションにするにはさらに開発が必要である。