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従来比3倍3,000原子規模のナノデバイス・シミュレーションに成功

January, 16, 2014, 東京--富士通研究所は、スパコンを利用して従来比3倍となる3,000原子規模のナノデバイスにおける電気特性シミュレーションに成功した。
ナノスケールの世界では、原子のわずかな配置の違いがデバイスの電気特性に大きく影響するため、原子レベルから物質の性質を正確に計算できる「第一原理計算」手法が必要。しかし、この手法を電気特性予測に適用する場合、計算量が膨大なことから1,000原子規模にとどまっていた。今回、計算精度を保ちながら計算に利用するメモリ量を従来の約4分の1に削減する計算手法と、スパコンを活用した大規模並列化技術により、3,000原子規模への適用を可能にした。
これにより、ナノデバイスの部分単体でなく部分間の相互作用を含んだ電気特性が予測でき、ナノデバイスの早期実用化に貢献することが期待される。
富士通研は、計算精度を保ちながら計算に利用するメモリ量を削減する計算手法と、スパコンの活用により、3,000原子の大規模な構造でも第一原理計算による電気特性予測を可能にする技術を開発した。
電気特性シミュレーションでは、電気の流れを表すために基底関数の組を用いる。通常、基底関数の数が増えると計算結果の得られる電流値は正しい値に近づいていくが、一方で使用する計算メモリ量が増加する。今回、計算精度を保持しながら、計算メモリを約4分の1、計算時間を約25分の1に削減できる基底関数の組を発見。これにより、利用メモリを汎用スパコンの許容メモリ以下にすることができ、3,000原子規模のナノデバイスの電気特性を約20時間で予測することが可能になった。
シミュレーションを実施するにあたり、北陸先端科学技術大学院大学と計算科学物質イニシアチブが開発した大規模並列化技術を用いた第一原理計算プログラムのOpenMXを利用した。同プログラムでは原子の分割方法の工夫により使用する通信量や計算メモリ量を削減し、かつ空間の分割方法の工夫により第一原理計算で重要な高速フーリエ変換(FFT)の高速化を実現している。
これら技術により、グラフェンと絶縁膜で構成された3,030原子からなるナノデバイスの電気特性のシミュレーションが可能になった。
今回開発した技術により、3,000原子規模の電気特性シミュレーションが実現できるため、部分間の相互作用まで取り入れたナノデバイス構造の電気特性を把握することが可能になり、新しいナノデバイス設計の実現に向けて大きく前進した。
(詳細は、 jp.fujitsu.com)