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原子の瞬間移動のサブ・ナノメートルの分解能での実時間観測に成功

February, 16, 2016, つくば--筑波大学の研究者などで構成される研究グチームは、非常に強力な極短X線パルスを発生するX線自由電子レーザ(XFEL)施設SACLAを用いてX線回折実験を行い、現在使用されている記録型DVDや次世代の不揮発性固体メモリーとして期待されている相変化メモリーの記録材料において、電子励起により駆動された原子の瞬間移動をサブ・ナノメートル以下の分解能で観測することに成功した。
 SACLAは、波長が極めて短いX線領域で実現した国内初のX線自由電子レーザ光源。このXFELは約10 fs(フェムト秒)という極めて短いパルス幅を持つことから、この特性を生かした固体中の原子運動の直接観測や、それに伴う構造変化の瞬間撮影への応用が期待されていた。
 研究チームは、超短パルスレーザ光を励起光として、相変化メモリー用記録材料(Ge2Sb2Te5単結晶薄膜)に照射し電子励起することにより構造変化を引き起こし、この後の原子運動の様子をSACLAのXFELパルスを用いて1 ps(ピコ秒)以下の時間分解能でX線回折撮影した。その結果、原子の運動は励起直後の数psの間は原子の結合が切れて局所的に構造変化するだけであるが、20 ps後には温度上昇も加わり、約2 pm(ピコメートル)だけ格子面間隔が膨張した新しい構造に変化することを明らかにした。またこの原子変位した構造は、100 ps以上も持続し、その後約1.8 ns(ナノ秒)で緩和して元に戻ることもわかった。
 今回観測された電子励起によるピコ秒領域の原子の瞬間移動は、相変化メモリー用記録材料における相転移が、これまで考えられてきたナノ秒ではなく、ピコ秒の時間スケールで起こり得ることを強く示唆している。すなわち、電子励起を用いた超高速スイッチング相変化デバイスが可能になると期待される。
(詳細は、www.aist.go.jp)