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EPFL、自動顕微鏡で生きた細胞集団内部を見る

August, 21, 2019, Lausanne--今後、研究者は細胞の寿命と並行して、また寿命を通して、様々な実験条件で生きた細胞がどのうよに機能し反応するかを見ることができる。EPFLスピンオフNanoliveが発表した新しい3D顕微鏡で、研究者は、細胞小器官まで、細胞の動作のしかたの詳細を観察できる。さらに、その顕微鏡は完全自動であり、研究している細胞に損傷を与えることはない。
 今後は、生きた細胞は、もはや秘密ではなくなる。研究者は、細胞小器官の相互作用、刺激に対してどのように反応するかも含め、細胞の機能方法を直接見ることができるようになる。EPFLのスピンオフ、2013年設立のNanoliveは、研究者が、生きた細胞を直接、連続的に、細胞に損傷を与えることなく観察できる画期的な顕微鏡を開発した。これにより、観察するための信頼できる方法がなかったために、これまで十分に理解できなかった生物学的プロセスで重要な発見への道が開ける。同社の新しいシステムは、画像を3Dに変換し、特殊な細胞小器官をカラー表示するなど、画像の解釈を容易にする独自のソフトウエアが付加されている。

細胞は、何時間でも何日でも何週でも観察可能
 この次世代顕微鏡、CX-Aにより研究者は、生きた細胞集団を観察し、<200 nmの解像度で個々の細胞小器官までズームインできる。サンプルは、細胞を特殊な96ウェルプレートに設置して準備する。研究者は、素早く実験を設定することができる。どれくらいの頻度で画像を撮りたいかを明記するだけでよい。顕微鏡は自力で動作する。データは、必要なだけ長くこの方法で収集できる。数日、数週間で数千の画像が収集される。結果的に、生物学的なプロセスがどのように働くか、細胞小器官がどのように相互作用するか、例えば、ミトコンドリアがどのように複雑なネットワークを形成するかを史上で初めて観察することができる。
 その技術は当初、NanoliveのCEO、Yann CotteがEPFLのPhD学生のころに開発した。それはMRIのように動作し、屈折率を使ってあらゆる角度から細胞画像を生成し、先進的ソフトウエアの助けを借りて3D画像に編集する。回転するレーザがサンプルを45°の角度で照射してホログラムを生成する。これにより、自然な条件で細胞を比類のない見方で観察できる。その方法は、非侵襲的、操作フリー、干渉フリーであり、回転スキャニングにより、優れた解像度で3D再構成ができる。
 従来の顕微鏡は、コントラストを付加し可視化するために、細胞に染色剤かマーカーを加える必要がある。残念ながら、これらの化合物は細胞に損傷を与え、細胞の死の時期を早め、計測できる期間を縮める。Nanoliveの技術は、染色剤を必要としない。「われわれの顕微鏡で研究者は、幅広い条件下で実験を行い、蛍光マーカーを加えることなく、高品質の画像を撮ることができる」と同社定量生物学者、Mathieu Frechinは言う。「屈折率を使って生成された画像と、それらを蛍光信号と結びつける機能により研究者は、ミトコンドリアのような生きた細胞下構造、膜電位などの動的で微妙な細胞プロセスを時間をかけて追うことができる。その信号は、構造の微妙な変動、薬剤や遺伝変種に応えて起こる活動を明らかにする。
 Nanoliveは、同社の収益や資金調達については明らかにしていないが、同社が堅調であることは明らかである。

(詳細は、https://actu.epfl.ch)