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MEMS技術で分光計が日常的なモノになる

June, 6, 2016, Dresden--フラウンホーファー研究所フォトニックマイクロシステムズIPMSは、光分光学とと超音波分光ソリューションについての2つのアプローチをサンフランシスコで開催される2016センサEXPOで紹介する。
 MEMSは、オンサイトで計測できるモバイルアプリケーションで利用可能な小型センサシステムに道を開く。さらに、センサは、製造および加工工場の両方で産業計測機に簡単に組み込める。中でも可能性のあるアプリケーションは、分光学的計測システムにある。ここでは、サンプルのスペクトル応答を検出するために、物質が電磁波、音響波にさらされる。固有の応答スペクトルの計測により、固体、液体、気体物質が決まり、分析される。
 分光計測の潜在力は膨大である。固有の「フィンガープリント」が固体、液体、気体について詳細な情報を提供する。サンプルは、複雑な準備を必要とせず、プロセスの損傷を受けないので、計測そのものは、通常、非常に迅速に簡便に、経済的に行われる。フラウンホーファーIPMSは、かつてないほど小型で、一段とロバストな分光計の開発を目指している。これは現場での使用に適しており、工業計測機器に組込み可能である。
 研究チームは、角砂糖形状のモバイルMEMSスキャニンググレーティング分光計を開発し、近赤外域の光を分析することで液体、固体物質の検査を支援する。砂糖、甘味料、塩などの多様な粉末を区別できるこのシステムは、体積がわずか2.1㎝3、標準的な角砂糖よりも約30%小さく、普通のスマートフォンで制御する。同システムは、950~1900nm波長範囲をスペクトル分解能10nmで計測できる。したがってこの技術は、多様な有機化合物、様々なアプリケーションの分析にとって興味深い。例えば、ポータブル食品産業計測器、モバイル医療、薬理学分析機器、産業用現場品質テスト、セキュリティアプリケーションやビル管理の早期警戒システムや監視システムなど。
 セキュリティモニタリングにとって重要な多くの化学物質の特徴吸収ラインは、近赤外にはなく、むしろ中赤外(3~12µm)スペクトルにある。分光分析で漏れるそのような毒の潜在的なリスクを評価し、反応させるために、フラウンホーファーIPMSと応用固体物理学IAFは、中赤外用の新しいモノクロ光源を共同開発した。この技術は、様々な危険物質の濃度を迅速にその場で判断することができるハンドヘルド分光計の開発基盤を提供する。同システムの中核には、フラウンホーファーIAFが開発した中赤外スペクトルQCLと高光透過率の回折格子を特徴とするMEMSスキャナの組み合わせがある。QCLからの発光をチューニングするために、直径5㎜のMEMSコンポーネントをQCLの外部共振器に設置している。これにより、1000Hzのレーザ波長が透過し、中心波長のチューニング範囲は最大20%となる。時分割多重(TDM)では、サンプルは多様な波長で照射され、「フィンガープリント」により、汚染物の性質と濃度が決まる。
 これ以外にフラウンホーファーIPMSは、超音波を使う音響分光分析の方法も開発している。