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IDT社、CERNとの共同研究でRapidIO技術を利用

April, 8, 2015, San Jose--IDT(Integrated Device Technology, Inc)は、欧州原子核研究機構(CERN)と3年間の共同研究に入ったと発表した。世界最先端の基礎物理学研究におけるデータ取得・分析を改善するために、IDTのRapidIO技術が利用される。
 世界最大かつ最も強力な素粒子加速器であるCERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)は、実験によって大量のデータを収集する。IDTとCERNのチームはIDTの技術を利用して、こうしたデータ収集のほか、実験シミュレーション用クラスとCERNのデータセンターでのデータ初期分析と再構築の作業の質とスピードを改善する。
 LHCは、検出器1台につき毎秒何百万回もの衝突を発生させ、毎秒約1ペタバイト(PB)のデータを生成する。CERNが宇宙に関する基礎的な疑問の答えを見つける上で、このデータは不可欠。RapidIO技術は、コンピュータのプロセッサのクラスタ間を低レイテンシで接続し、データの移動を劇的にスピードアップする。4G基地局で広く使われるIDTの低レイテンシRapidIO製品によって、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)とデータセンタにおける、リアルタイムのデータ分析とデータ管理を実現することも可能。
 CERNオープンラボ・パートナーシップの第5フェーズの任務の一環として、LHCのいくつかの実験では、カスタムビルトのハードウェアとバックプレーンから、プロセッサの大規模クラスタ間を低レイテンシで相互接続する完全にプログラム可能なヘテロジニアスコンピューティングへと移行する可能性を模索している。共同研究の第1段階ではIDTの現行のRapidIO 20 Gbpsインターコネクト製品を使用し、今後CERNでの研究の進捗に合わせてRapidIO 10×N 40Gbps技術にアップグレードする。
 現在は、CERNが集めるリアルタイムデータの量を考慮し、カスタムビルトのASICハードウェアで実装が行われている。ハードウェアに実装されているアルゴリズムを使用してデータを抽出し、その中からわずか1%を選び出してさらに分析にかける。
 今回の共同研究は、HPCクラスタとデータセンタでの展開に適した業界標準のITフォームファクターソリューションをベースにしている。エンジニアは、IDTが共同議長を務めるオープンコンピュートプロジェクト(Open Compute Project)のHPCイニシアチブ向けに開発されたRapidIO.orgの仕様をベースとしたヘテロジニアスサーバを使用できる。
 今回の共同研究で使用するコンピューティングプラットフォームは、市販のRapidIO対応1Uヘテロジニアスサーバをベースとしている。このサーバは、業界標準のサーバ、GPU、FPGA、低電力64ビットSoCのほか、プロドライブテクノロジーズ(Prodrive Technologies)のTOR RapidIOスイッチに対応している。