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EU PASSION、フォトニクスを利用して高速大容量伝送を実現

August, 7, 2018, Roanoke--EU助成を受ける研究グループは、VCSELレーザ光源とシリコンフォトニクスを統合して長波長、大容量接続の開発に初めて取り組んでいる。目的は、光の速度で大容量接続に道を開くこと、将来のゲームやオンデマンドTVなど新しい「スマート」サービスを支援することである。 
 将来のスマートサービスは、現在のインターネットインフラストラクチャの大幅な改革を必要とする。音楽、ビデオ、ゲーム、AI、VRや通信など、ますます高度になるデバイスでユーザが生み出すデータによる「ボトルネック」から解放する必要がある。
 VCSELはデータセンタ内の短距離接続のデータ通信に使用されてきたが、長波長にこの赤外レーザを使った大容量伝送はこれまで行われたことがない。
 研究グループ‘PASSION’は、高い伝送効率と最小消費電力のために、VCSEL光源の活用に積極的になっている。プロジェクトの調整役、Pierpaolo Boffi教授は、「VCSELは、低駆動電流、高い光パワー変換効率および高指向性という利点がある。したがってVCSELは、低コストで、エネルギー効率よく膨大なデータ伝送に理想的な選択肢である」とコメントしている。
 さらに同教授は、「われわれは、低エネルギー消費で、軽量かつより柔軟なインターネットを必要としている。そうでなければ、将来のインターネットコストは維持されない」と言う。
 低エネルギー、維持できる通信インフラストラクチャを新しい光技術でサポートするために、PASSIONグループは欧州連合(EU)都市部の光ファイバネットワークで予想される容量制約に一致して取り組んできた。
 「われわれの都市で、膨大なデータ量の効果的な伝送とルーティングのための光ネットワークは過去10年、絶えず発展してきた。しかし、現在、データの伝送とルーティングにおけるボトルネックが不可避の状況にある」とBoffi教授は指摘する。
 「PASSIONは、画期的レーザ光源をベースにした先進的なネットワークアーキテクチャ、新しい伝送、検出、ルーティングソリューションを考案する。このソリューションは、リンクあたり100Tb/sを超える伝送レート、ノードあたり1Pb/sを超えるスイッチング容量を確実にするものになる」と説明している。

VCSELシリコンフォトニクス
 ネットワークコンポーネント向けの新しい技術プラットフォームを開発するために、研究グループはVCSELをシリコンフォトニクスに組み込み、そのような技術プラットフォームのパッケージングコストを一段と削減する。
 VCSELは、3Dセンシングの重要コンポーネントであり、現在、例えば、Face ID, Animojiなど、スマートフォンカメラ向け距離計で広く利用されている。
 しかし、高速インターネットに向けてそのような技術をシリコンフォトニクスに組み入れることは、真の難題である。PASSIONプロジェクトマネージャ、Paola Parolariは、「VCSELは、メトロ通信における次の大飛躍となり得る。VCSELは、すでにデータ通信、データセンタ内短距離接続に広く用いられている。しかし、大容量通信マルチチャネルモジュール実現のために長波長VCSELをシリコンフォトニクスで利用すると、コスト、フットプリント、エネルギー節約の面でわれわれの都市の光ファイバネットワークに途方もない影響を及ぼす」とコメントしている。
 PASSIONコンソーシアムによるコンソーシアムは、H2020助成金プログラムで欧州コミッションから7,535,747ユーロの助成金を獲得した。
(詳細は、www.passion-project.eu)