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新しいミニ3Dカメラ、次期自動運転車に必須

December, 28, 2022, Jena--自動車メーカー、BMWとの共同プロジェクトで、Fraunhofer IOF(Fraunhofer Institute for Applied Optics and Precision Engineering)は、小型化された広角3Dカメラシステムを開発した。
 将来、そのカメラは、3Dセンサを使う自動運転車の内部をモニタするので、未来の道路上の安全性を保証することになる。

自動運転車は、これまでに分かっているように、道路の交通の変革を約束する。われわれは、全く新しいレベルの快適な旅を経験することにもなる。しかし、車輌が自律的になればなるほど、ますます優れた安全システムが必要になる。例えば、ドライバーが重要な状況で直ぐに自動車を制御できるかどうかのモニタである。Fraunhofer IOFの研究者は、BMWと協力して、正にそれを実行できるように設計された小型カメラを開発した。共同研究プロジェクトMinTOFKAの一環として、小型ToFカメラシステムが開発された。6チャネルのマイクロオプティクスとVGA-3D ToFセンサを利用して、170°x130°以上の視界をカバーする。これは、全乗客のジェスチャや注視方向を捉えるには理想的である。

同システムは、幅広い範囲の関連する安全機能を可能にする。完全なドライバーモニタリングに加えて、ハンドルを手にしていること、シートベルト、エアバッグコントロールと結びついた座席利用率の検出も含む。また、子どもの存在も明確に検出される。ジェスチャコントロールは、インフォテーメントへのより便利なアクセスも可能にする。これは、注意散漫が少なくなることで、道路の安全性向上を確実にする。

視界の分割による特にコンパクトな設計
システム開発における主要な課題: 未来の自動車は、次第に包括的で複雑な機能になるので、ますます多くのシステムを組み込む、その結果、限られたスペースしか利用できない。社内モニタリング用のカメラには最大10㎜のスペースがある。カメラは、バックミラーの下にマウントすることになる。同時に、可能な限り多くの車内をカバーするには、カメラは、大幅に拡大された視界でなければならない。古典的な広視界カメラオプティクスは、この場合使用できない。求められるコンパクトさにサイズを縮小できないからである。

ここでイェーナの新しいミニカメラが登場する。研究チームは、新しいマルチチャネルカメラコンセプトの実装に成功した。ここでは、大きな視界は、予め定義された複数の個別チャネルに分割されている。「古典的なアプローチと違い、観察される視界全体は、一つのレンズで撮られたものではない」とFraunhofer IOFの光学・機械システム設計部長、Dr. Robert Bruningは説明している。「代わりに、複数の並列化されたイメージングチャネルを使用する。その各々が、視界の一部しかカバーしない、つまり90°/ch程度である。目的としている水平視界170°を達成するためにわれわれは、2chの3倍の組合せを選択した。後続の画像処理向けに両チャネルの深度マップを結合するためにわわれは、さらに個々の視界間で15°の重複を維持する。即ち、カメラはコンピュータアルゴリズムを使用して、様々な視界方向からの多数の画像、関連する3Dデータを単一の画像に統合する。

より高い解像度の新しいToFセンサ
システムは、時間飛行法(ToF)ベースのカメラアプローチ。「それは3Dセンサ技術であり、人やモノを捉えるために使用できる」とBruningは、説明している。「これは、光パルスを放出するカメラによって達成される。次に、光が物体の様々な点で反射されてカメラに戻るまでの時間を計算する。多くの光パルスを様々な方向へ放出することで、カメラに見える全ての物体を、いわゆる点群で計算できる。これらの点群と既知の形状、人々、また子ども安全シートなどの物体と比較して特定できる。カメラから放出される光は、赤外スペクトルであり、したがって人の眼には見えない。

自動車産業向けに開発された以前のToFセンサは、遙かに小さな視界76°×60°、解像度(320×240ピクセル)は低かった。手振りの検出目的のためにのみ開発されたからである。対照的に、Fraunhofer IOFチームが開発したセンサは、大幅に機能が拡張されており、解像度は640×480ピクセル(VGA)と高く、視界も大きい。最初のテストで、そのシステムは、95%を超える検出精度を実証した。

Fraunhofer IOFでは、オプティクスの開発は、設計、構築、アセンブリと特性評価の範囲で行われた。また、個々の画像のデジタル前処理用のソフトウエアも開発され、これらが統合されて大きな視界を持つ画像全体を形成する。
(詳細は、https://www.iof.fraunhofer.de)