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MIT、赤外カメラとAIで沸騰内部を観察

August, 25, 2021, Cambridge--MITの研究者は、「沸騰危機」を予測するようにニューラルネットワークを訓練する。潜在的なアプリケーションは、コンピュータチップや原子炉の冷却。
 沸騰は、単なる夕食の加熱のためではない。冷却のためでもある。液体を気体に変えると,熱い表面からエネルギーを奪い、原子力発電所から強力なコンピュータップまであらゆるものの過熱を防ぐ。しかし表面が熱くなりすぎると、いわゆる沸騰危機を経験することになる。

沸騰危機では、急速にバブルが生じ、それらが過熱した表面から離れる前に、互いにくっつき合い、蒸気層を形成する。これは、表面を上の冷却液から隔離する。温度は、さらに急速に上昇し、カタストロフィーを起こす。オペレータは、そのような故障を予測したい。新しい研究は、高速赤外カメラとマシンラーニングを使ってその現象を洞察する。

MIT核科学・工学Norman C. Rasmussen准教授、Matteo Bucciは、その新研究を主導し、Applied Physics Lettersに成果を発表した。以前の研究では、チームは、約5年を費やしてマシンラーニングが関連する画像処理を簡素化する技術を開発した。両プロジェクトの実験セットアップで、2㎝径の透明ヒーターをウォータバスの下に置いた。赤外カメラがヒーターの下にあり、上を向いていて、分解能約0.1㎜で2500fpsを記録する。以前には、そのビデオを調べている人は、手作業でバブルをカウントし、その特性を計測しなければならなかったが、Bucciは、その面倒な作業をするようにニューラルネットワークをトレーニングし、3週間のプロセスを約5秒に短縮した。「次は、単にデータを処理する以外に、実際に人工知能から何かが分かるかどうかを見よう」と同氏は考えた。

目標は、水が沸騰危機にどれだけ近いかを推定することだった。システムは、画像処理AI “核形成サイト密度”(加熱面で規則的に増えるバブルの単位エリアあたりのサイト数)が供給する17要素を見た。また、各ビデオフレームでは、それらのサイトにおける平均赤外放射、およびそれらのサイト周囲での放射分布についての15の他の統計を見た。これには、時間経過でそれらがどのように変化するかが含まれる。その全ての要素が存在することを正確に量る公式を手動で見つけることは、困難な挑戦である。しかし「人工知能は、われわれの脳のスピード、データ取扱能力によって制限されない」。さらに「マインラーニングにバイアスはない」、沸騰に関して先入観のある仮説によるバイアスのことである。

データを収集するためにチームは、インジウムスズ酸化物の表面で水を自然に沸騰させた。あるいは、以下の3つのコーティングの一つをほどこした表面で沸騰させた。酸化銅ナノリーブ、酸化亜鉛ナノワイヤ、二酸化ケイ素ナノ粒子。チームは、最初の3つの表面からのデータの85%でニューラルネットワークをトレーニングした。次にその条件のデータの15%プラス第4の表面からデータでそれをトレーニングして、それが新しい条件にいかに上手く一般化できるかを見た。一つの測定基準によると、全ての表面でトレーニングしてなかったとしても、それは96%正確だった。「われわれのモデルは単に特徴を記憶するだけではない。それはマシンラーニングにおける典型的な問題である。われわれは、異なる表面に対する予測を推定できる」(Bucci)。

チームは、17の要素全てが、予測の正確さに大きく貢献していることを確認した。さらに、そのモデルを、未知の方法で17要素を利用するブラックボックスとして扱う代わりに,チームは、その現象を説明する3つの中間要素を特定した。核形成サイト密度、バブルサイズ(17要素のうち8から計算)、生成物の成長時間とバブル放出頻度(17要素のうち12から計算)。Bucciによると、文献のモデルは、1要素しか使わないことが多いが、この研究は、多くを、またその相互作用を考慮すべきであることを示している。「これは重要である」。

「これは素晴らしい」とPatnaのIndian Institute of Technologyの准教授、Rishi Rajは言う。同氏は研究には関与していないが、次のように続けている。
「沸騰は、そのように複雑な物理学だ」。それは少なくとも2つの物質の層に関わり、カオス系に資する多くの要素を持つ。「このテーマについて少なくとも50年の広範な研究にもかかわらず、予測モデルの開発はほぼ不可能だった。マシンラーニングという新しいツールは理にかなっている」とRajはコメントしている。

研究者は、沸騰危機の背後のメカニズムについて議論してきた。加熱表面における現象からだけの結果なのか、あるいは遠く離れた流体力学からか。この研究は、表面現象が、そのイベントを予測するのに十分であることを示している。

沸騰危機の近さを予測することは、安全性強化だけではない。効率も改善する。リアルタイムで状況をモニタリングすることでシステムは、チップや原子炉をその限界まで押し上げる。調整した、不要な冷却ハードウエアを構築する必要はない。
(詳細は、https://news.mit.edu)