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生体蛍光イメージングのための短波赤外蛍光色素

August, 3, 2021, 和光--理化学研究所(理研)生命機能科学研究センターナノバイオプローブ研究チームの神隆チームリーダー、北海道大学大学院先端生命科学研究院の門出健次教授らの共同研究チームは、インドシアニングリーン誘導体を利用した安全性の高い生体蛍光イメージング用「短波赤外蛍光色素」の開発に成功した。

研究成果は、短波赤外光を利用した生体蛍光イメージングの医療応用に大きく貢献するものと期待できる。

現在、生体蛍光イメージングには近赤外光が利用されているが、生体深部をより鮮明に可視化するために、最近では近赤外光よりも波長の長い短波赤外領域の光が注目されている。しかし、医療応用が可能で安全に使用できる短波赤外蛍光色素は未開発だった。

今回、共同研究チームは、ヒトで唯一使用が認められている近赤外蛍光色素のインドシアニングリーン(ICG)をもとに、ICGのポリメチン鎖を延長することで、短波赤外領域で蛍光発光するICG誘導体色素(ICG-C11)を開発した。ICG誘導体色素の合成はこれまで困難だったが、反応条件を最適化することで成功した。さらに、短波赤外の蛍光ラベル化剤(ICG-C11-NHS)も合成し、分子イメージング用蛍光ラベル剤を容易に作製できるようした。ICG-C11-NHSを用いて、マウス乳がん腫瘍を高感度で検出した。

研究成果は、科学雑誌『Bioconjugate Chemistry』の掲載に先立ち、オンライン版に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)