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CEALeti、集積フェーズドアレイベースLiDAR利用普及

March, 17, 2021, Grenoble--広範な商用アプリケーションに向けたLiDARシステム開発に重要な一歩を踏み出すためにCEALetiは、高チャネルカウント光フェーズドアレイ(OPAs)の検査、ウエファスケールOPA特性評価のために遺伝的アルゴリズムを開発した。

OPAsは、近接(約1µm)アンテナアレイでできた新興技術であり、広い角度範囲でコヒレント光を放出する。生成された干渉パタンは、各アンテナから放射される光相対位相を調整することで変更可能。例えば、アンテナ間の位相勾配を変えることで指向性ビームが形成される。線形勾配のスロープを変えることで、ビームの指向性が制御でき、これによって固体ビームステアリングが有効になる。

これは、現在のLiDARsで使われている重い、電力を食う、高価な機械式ビームステアリングシステムと比較して、スキャニンクグスピード、電力効率、分解能の点で性能を改善できる。OPAベースLiDARシステムの追加の特徴は、それらが可動部品をもたないことである。固体ビームステアリングは、アンテナの位相チューニングによってのみ達成される。これは、これらのシステムのサイズとコストを大幅に下げる。

CEA-Letiは、Photonics West 2021 Digital Forumでキャリブレーションと特性評価結果を報告した。

論文の筆頭著者、Sylvain Guerberは「ハイパフォーマンスOPAの開発は、自律走行車、ホログラフィックディスプレイ、バイオメディカルイメージング、多くの他のアプリケーションに向けた安価なLiDARシステムに道を開く」とコメントしている。とは言え、LiDARの普及は、システムコストの低下、小型化にかかっている。

商用LiDARシステムは、特に自動車アプリケーションの場合、厳しい要件を満たしていなければならない。シーンを正確に解像するには、ハイパワーと低発散ビームが必要とされる。例えば、100m先の10㎝の物体を解像するには、OPAは、少なくとも1µm間隔の1000のアンテナで構成された回路で1µm波長動作が必要になる。したがって、商用OPAベースLiDARシステムには、高チャネルカウントOPAsの開発が必要である。

Guerberによると、固体ビームステアリング、集積チップスケールOPAは、成熟したシリコンフォトニクスプラットフォームの利点を活用することで製造可能である。しかし、これはフル機能OPAへの第一歩に過ぎない。ビームスキャニングは予備校正を必要としているからである。光アンテナに必要となる数が多いので、このキャリブレーションプロセスは、膨大な時間がかかり、技術の大量導入に適合しない。したがってCEALetiチームは、初のウエファスケールOPA特性評価セットアップとなるものを開発した。これはOPAベースLiDARsの産業化に向けた重要な一歩である。加えて、ダーウイン進化論に基づいた遺伝的アルゴリズムが開発された。迅速かつ高信頼に高チャネルカウントOPAsを校正するためである。これらにより、以前利用されていたアルゴリズムよりも1000×高速になる。

「まだ多くの課題がある、特にシステムレベルでの課題だ。LiDARは、多くの要素で構成されている。レーザ、電子ドライバ、OPAステアリングシステム、ディテクタやデータ処理機能である。それらの全てが協働しなければならない、OPAは、そのシステムの一部に過ぎない」と同氏は説明している。

(詳細は、https://www.leti-cea.com)