Science/Research 詳細

ディープラーニングで角に隠れた物体をリアルタイムイメージング

January, 28, 2020, Washington--スタンフォード大学とライス大学、他の研究グループは、ディープラーニングとして知られるタイプの人工知能(AI)の力を利用して、リアルタイムで曲がり角をイメージングできる新しいレーザベースのシステムを実現した。さらに開発が進むと、同システムによって自動運転車は駐車中の自動車の周り、交通量が多い交差点を「見て」、危険や歩行者を発見することができるようになる。また、サテライトや航空機に搭載して、小惑星の洞窟内の画像などを撮る作業に使える。

研究チームのリーダー、Christopher A. Metzlerは、「他のアプローチと比較すると、われわれの非見通し線イメージングシステムは、類例のない解像度とイメージング速度を提供する。このような特性により、他の方法ではできなかったアプリケーション、走行中の自動車の隠れたナンバープレートを読み取る、あるいは角の反対側を歩いている人がつけているバッジを読み取るなどが可能になる」とコメントしている。

Opticaに発表された論文では、研究チームは、新しいシステムは1メートル離れたところにある隠れた物体の細部をサブミリメートル精度で区別できる。システムは、非常に高い解像度で小さな物体をイメージングするように設計されているが、低解像度で部屋サイズの再構成をする他のイメージングシステムと組み合わせることができる。

「非見通し線イメージングは、医療イメージング、ナビゲーション、ロボット工学や防衛では重要なアプリケーションである。われわれの研究は、そのようなアプリケーションに広く利用できるように一歩踏み出している」とプリンストン大学、共著者、Felix Heideは話している。

ディープラーニングでオプティクス問題を解決
新しいイメージングシステムは、市販のカメラセンサや強力ではあるが、その他の点では標準的なレーザ光源を使う。光源は、レーザポインタに使われているものと同じである。レーザビームは、見える壁から跳ね返り、隠れた物体に到達し、次に壁に戻り、隠れた物体の形状をエンコードした、スペクルパタンとして知られる干渉縞を形成する。

スペクルパタンから隠された物体を再構成するには、困難な計算問題を解く必要がある。リアルタイムイメージングには短い露光時間が必要であるが、既存のアルゴリズムを作動させるとノイズが多くなりすぎる。この問題を解決するために、研究チームは、ディープラーニングを利用した。

「非見通し線への他のアプローチと比較すると、われわれのディープラーニングアルゴリズムは、ノイズに強く、したがって非常に短い露光時間で動作可能である。ノイズを正確に特徴付けることにより、われわれはデータを合成してアルゴリズムをトレーニングし、コストがかかる実験トレーニングデータをとる必要もなく、ディープラーニングを利用して再構成問題を解決することができた」と、論文の共著者、Southern Methodist UniversityのPrasanna Rangarajanは話している。

角の周りを見る
研究チームは、角の陰に隠された高さ1センチメートルの文字と数字の画像を再構成することで、その新技術をテストした。利用したイメージングセットアップは、壁から約1 mであった。1秒の1/4の露光長を利用して、そのアプローチは、解像度30 µmで再構成した。

研究は、DARPAのRevolutionary Enhancement of Visibility by Exploiting Active Light-fields (REVEAL)プログラムの一環である。同プログラムは、コーナーの陰に隠れた物体をイメージングする様々な技術を幅広く開発している。研究グループは、そのシステムがもっと大きな物体を再構成できるように、 見通し線を拡大することで、もっと多くのアプリケーションでの実用化に取り組んでいる。