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世界最高レベルの波長分解能を持つ分光型赤外線センサを開発

August, 28, 2019, つくば--NIMSは物質の熱ふく射を波長分解し、かつ、飛来する方向を絞って検出できる多波長型の赤外線センサを開発した。このセンサは50 nmの波長分解能と±1°の指向性を持ち、これにより、熱ふく射の波長分布やその温度変化が未知の物体であっても、非接触で真温度を計測でき、その物体の状態を判別するセンサへの応用が期待される。また、精度の高い位置センサやガスセンサなどへの応用も期待できる。

NIMSは物質の熱ふく射を波長分解し、かつ、飛来する方向を絞って検出できる多波長型 (分光型) の赤外線センサを開発した。このセンサは50 nmの波長分解能と±1°の指向性を持ち、これにより、熱ふく射の波長分布やその温度変化が未知の物体であっても、非接触で真温度を計測でき、その物体の状態を判別するセンサへの応用が期待される。また、精度の高い位置センサやガスセンサなどへの応用も期待できる。

 研究グループは、1 cm×1 cmのシリコンチップ上に、それぞれ異なる波長に応答する赤外線素子を4つ搭載した、分光型のオンチップ赤外線センサを開発した。一つ一つの素子は、特定の波長の電磁波だけを熱に変える表面構造を持ち、発生した熱を焦電体で電気信号に変換する。極微小な隆起構造を周期的に配置し、その隆起構造の周期を調整することで吸収する波長を調整することができ、かつ垂直に入射した波長のみを吸収する。さらに隆起構造のサイズと高さを精密に調整することで、高い感度と指向性、世界最高クラスの波長分解能を実現することに成功した。
 研究では、中赤外帯域(3.5µm~3.9 µm)の4つの波長に対して50nm台の波長分解能で応答し、かつ指向性も±1°となるように4つの素子を製作して並べることで、世界初の高い波長分解能と指向性とを同時に持つ、多波長オンチップセンサを実現した。

 今回の成果を応用することで、温度などの状態や物体の材質に関する情報を非接触で「見る」ことができ、真温度計測、工場ラインの品質状態管理、住宅やオフィスのひと見守りセンサ、車載環境センサなど、高度な認知能力を持つセンサシステムの開発につながることが期待される。

研究成果は、「Advanced Science」誌のオンライン速報版で公開された。
(詳細は、https://www.nims.go.jp/)