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光と超音波技術を統合した新しい生体医学イメージングシステムを開発

August, 30, 2018, West Lafayette--パデュー大学(Purdue University)の研究チームは、新しい生体医学イメージングシステムを開発している。これは光学および超音波技術を組み合わせて生命を脅かす病気の診断を改善するためである。
 光音響トモグラフィは、非侵襲的技術であり、吸収した光エネルギーを音響信号に変換することによって機能する。、パルス光を身体の組織に送り、小さな温度上昇を作り、それが組織を拡張し音響反応を作る。音響反応は超音波トランスデューサで検出できる。音波データは、組織の可視化に利用されている。
 「光音響トモグラフィの優れた点は、合成情報である。それは、血液や脂質がどこにあるかについての情報を他の重要情報とともに提供する」とパデューのWeldon School of 生体医用工学助教、Craig Goergenは説明している。
 究極の目標は、患者の臨床ケアの強化である。研究成果は、Photoacoustics誌に掲載。
 このシステムは、生体組織の組成情報をリアルタイムで提供する、造影剤は不要であり、従来の光学技術に比べて浸透の深さは優れている。
 光音響トモグラフィは、心臓血管疾患、糖尿病やガンを含む多くの病気を検出、モニタするために使用できる。心臓病やガンは、米国では、それぞれ年に死者の4人に1人を占める。また、アメリカ人の3000万人以上、つまり人口の9%超が糖尿病である。これら3つの病気のコストは、CDC (Centers for Disease Control and Prevention)によると、米国では年間、7180億ドルを超える。
 「すなわち、医療イメージングの必要性は非常に高い。これらの病気を早期に診断することは、患者ケアの向上になる。われわれは、それが何に使えるかを見るために様々なアプリケーションにこの強化されたイメージングアプローチを利用する過程にある」とCraig Goergenはコメントしている。
 光音響トモグラフィの他の潜在的用途の中に、他の健康問題を起こす可能性がある動脈壁内の脂質沈着マッピングがある。また、心臓組織損傷や腫瘍生検の評価もある。手術中の腫瘍生検に光音響トモグラフィを使用すると、医師は患者のガン全摘に役立てることができる。
 光音響トモグラフィの課題の一つは、浸透深さ、光吸収体を過ぎてからの信号対ノイズ比(SNR)の改善である。研究チームは、フォトン密度を最大化する光操作技術がソリューションとなると考えている。結果として、チームは電動光音響ホルダを作製した。これによりユーザーは、デバイスのアームの操作が簡単にできるようになり、光集光深度を調整でき、光浸透深度とSNR改善となる。