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LED新技術でエネルギーとグリーンハウスガス排出削減

August, 24, 2015, Boston--高効率LEDはすでに市販されているが、原材料入手に限りがあり、許容できる光品質達成が難しいことから、普及拡大には至っていない。しかし、このような障害を克服し、より安価で持続可能な白色LEDを開発したとする報告が発表される。
 論文は、アメリカ化学ソサイエティ(ACS)第250回会議で報告される予定。ACSは世界最大の化学ソサイエティ。
 消費者が期待している通常のソフト白色光を実現するために、現在のLED技術は一般に、単一の半導体チップを使用して青色光を生成し、次に黄色発光「リン光体」コーティングを利用して色を白色に変える。これはLEDが白色光を発しないためである。蛍光物質は、希土類元素からなる、セリウム添加イットリウム・アルミニウム・ガーネットなどの材料からできている。これらの元素は、米国外の採掘作業からしか得られないので、高価であり供給が限られている。また、これらの蛍光物質は、目障りな「冷たい」色になりがちである。
 Jing Liダイレクターの研究チームは、極めて持続可能性が高く、効率的で低コストなハイブリッドリンベース技術を開発している。研究チームは、通常の、地球にふんだんに存在する金属と有機発光分子とを組み合わせて、LEDから制御可能な白色光を発するリン光を生成する。金属と有機成分とを変えることで、研究チームは手順よくリン光体の色を調整して、人の目が最も受け入れやすい可視域の光スペクトラムにすることができる。研究チームは、別の金属と有機成分をベースにした他の希土類フリーLEDリン光体を開発する実験を継続している。
 多くの材料の組合せが可能であるので、コンピュータを使ってまず可能性をより分け、多様な組合せからどのような色の光が発光するかを予測する。次にベストの組合せを実験的にテストする。
 このようなアプローチにより、黄色、白色を含む可視域全体をカバーするバンドギャップと発光の体系的な微調整が可能になる。結果的に、研究チームのLEDを微調整して、安価であるが効率のよくない白熱電球と似た暖白色を作り出すことができる。このアプローチは、一般照明プリケーションでの利用に極めて有望である。
 ある材料を用いた実験から、研究チームの技術がLEDコストを、希土類元素に依存する現在の方法から90%程度削減できることが分かった。研究チームは、複数の米国特許、申請中の特許を有しており、現在製造可能性を探究している。