Science/Research 詳細

CMOSイメージセンサを用いた可視光通信により512色エラーレス伝送の世界記録を達成

March, 22, 2023, 東京--東京農工大学大学院工学研究院先端情報科学部門の中山悠准教授を中心とした研究グループは、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社の支援により、カメラの撮像素子であるCMOSイメージセンサを受信機に用いる光カメラ通信(Optical Camera Communication;OCC)について、従来32色が最高だった変調多値数(用いる光色数)を512色へと増加させ、世界記録を達成した。この成果により、今後、可視光通信によるサイネージ広告配信やドローン等の移動体制御、スマート農林水産業に向けた環境センシングなど適用領域の拡大が期待される。

研究成果
研究チームは、CMOSイメージセンサのRAWデータを出力可能なカメラを用いて、取得したセンサデータをニューラルネットワークにより補正し、さらに誤り訂正符号を用いることで、512色での4mエラーレス伝送に成功した。この結果により、実験的には32色による数十cm程度の伝送が最高だった従来の記録を大幅に更新し、世界記録を達成した。

今後の展開
この成果により、OCCのボトルネックだった通信速度の低さを大幅に向上させる可能性が拓けたと言える。今後、サイネージからの発光に対してデジタルデータを重畳させた広告配信サービスや、ドローン等の移動体のカメラを用いたデバイス間通信などへの展開が見込まれる。また、非常に安価なLEDを送信機として用いる特長から、環境センシングへの活用によるスマート農業やカーボンクレジットの枠組みへの貢献が期待される。

研究成果は、OFC2023で発表された。
論文名:First Demonstration of 512-Color Shift Keying Signal Demodulation Using Neural Equalization for Optical Camera Communication
URL:https://arxiv.org/abs/2301.01599
(詳細は、https://www.tuat.ac.jp)