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NIMS、毒性元素を含まない直接遷移型の近赤外線向け半導体を発見

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December, 15, 2020, 東京--NIMSは東京工業大学と共同で、安価で毒性の無いカルシウム、シリコン、酸素から構成される「Ca3SiO」が、赤外線用のLEDや検出器として応用が可能な直接遷移型の半導体であることを発見した。

NIMSは東京工業大学と共同で、安価で毒性の無いカルシウム、シリコン、酸素から構成される「Ca3SiO」が、赤外線用のLEDや検出器として応用が可能な直接遷移型の半導体であることを発見した。現在、赤外線領域で利用されている半導体の多くは、カドミウム、テルルなどの毒性元素を含むのに対し、今回発見したCa3SiOは、安価な非毒性の元素のみからなるという付加価値を備えた新たな近赤外線向け半導体としての応用が期待される。

赤外線は、光ファイバ通信、太陽電池、暗視装置等に用いられる産業上、非常に有益な波長帯。これまで、赤外線領域で利用される半導体として、テルル化カドミウム水銀、ヒ化ガリウム(GaAs)などの毒性元素を含む材料が用いられてきた。一方、毒性のない元素からなる赤外半導体は、専ら発光特性などが期待できない間接遷移型と呼ばれる半導体。そのため、毒性のない元素から構成され、かつ、バンドギャップが赤外線領域にあり、高機能素子への応用が可能な直接遷移型半導体の開発が望まれていた。

研究グループは、毒性元素を含まない半導体を見つけ出すために、まずは従来の半導体の探索指針とは異なる指針を検討した。従来は、周期表のⅢ族 – Ⅴ族、または、Ⅱ族 – Ⅵ族のように、周期表のⅣ族元素の左右に位置する元素を組み合わせて、バンドギャップなどの半導体特性を制御してきた。そのため、テルル化カドミウム水銀、ヒ化ガリウムのように、毒性元素が含まれる組み合わせを利用しなくてはならなかった。
 研究チームは、通常+4価の陽イオンとしてふるまうシリコンが – 4価の陰イオンとして寄与する結晶構造に着目した。逆ペロブスカイト型結晶構造を持つ酸珪化物であるCa3SiOなどの物質群を選択し、その合成、物性評価、および、理論計算を進めた結果、それらのバンドギャップが約0.9 eV (波長では1.4μm) という小さな値を示し、直接遷移型の半導体となることを見出した。バンドギャップが小さいほど長波長の赤外線を吸収したり、検出したりできる材料となり、また、直接遷移型であることから、赤外線発光特性や、薄くしても光を漏らさず吸収する特性が期待できるため、LED等の赤外線光源や赤外線検出器を構成することのできる新しい近赤外線向け半導体として非常に期待できる材料となる。

 今後、発見した半導体の大型単結晶の合成、薄膜成長プロセスの開発、ならびに、ドーピング・固溶による物性制御を進め、赤外線領域の高輝度LEDや高感度検出器の開発を目指す。これらの実現によって、これまで用いられてきた毒性元素を含む近赤外線向け半導体素子を、毒性の無い元素で構成された素子に代替させることができると期待される。

研究成果は、Inorganic Chemistry誌にオンライン版として掲載された。

(詳細は、https://www.nims.go.jp)