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グラフェンベース透明電極で高効率フレキシブルOLED 実現

June, 15, 2016, Daejeon--韓国の研究チームは、グラフェンと二酸化チタン、導電性ポリマでできた理想的な電極構造を開発し、これにより柔軟で効率的なOLEDが実現する。
 薄型軽量で紙のように巻き取れるコンピュータの登場は遠い先の話ではない。プラスチック基板を採用したフレキシブル有機発光ダイオード(OLED)は、折り曲げても動作する次世代ディスプレイへの利用で最近注目度が高まっている。
 KAISTの電気工学部、材料科学&工学部などの研究チームは、二酸化チタン(TiO2)と導電性ポリマの間にグラフェンを透明電極(TE)として用いることで高効率の柔軟OLEDを開発した。
 OLEDは、ガラス、金属箔あるいはプラスチック基板上に超薄層を多重スタックしている。内部は、2つの電極の間に多層の有機化合物が挟まれている。電圧が電極に印加されると、カソードからの電子とアノードからのホールが相互に引き合い、放出層で結合する。電子がホールと再結合する際にOLEDは発光し、フォトンの形でエネルギーを放出する。OLEDの電極の一方が通常は透明になっており、どちらの電極が透明であるかによってOLEDは上部(トップ)または下部(ボトム)から光を放出する。

従来のボトム・エミッションOLEDでは、放出フォトンがデバイスを通って基板に出るために、アノードが透明になっている。インジウムスズ酸化物(ITO)は、通常透明アノードとして使われる。これはITOの透明性が高く、シート抵抗が低く、製造工程が確立されているためである。しかし、ITOは潜在的に高価であり、その上、脆い。また、曲げに誘発される亀裂の形成に弱い。

グラフェンは、6角ハニカム格子で炭素原子が強く結合した2D薄型層であり、最近ITOの代替として登場してきた。傑出した電気的、物理的、化学的特性を持ち、その原子レベルの厚さは高度な柔軟性と透明性につながるので、TEの理想的な候補になっている。とは言え、今日までに報告されているグラフェンベースOLEDの効率は、せいぜいITOベースOLEDと同程度であった。

ソリューションとして韓国の研究チームは、グラフェンベースのOLEDの効率を最大化できる新しいデバイスアーキテクチャを提案した。研究チームは、複合構造に透明なアノードを作製。ここでは高屈折率のTiO2層と低屈折率の導電性ポリマのホール注入層とがグラフェン電極を挟んでいる。これは、TEの実効反射率を高めるために高屈折率層と低屈折率層との相乗効果を引き出す光学的設計である。その結果、光学的キャビティ共鳴の強化は最大化される。光学的キャビティ共鳴は、OLEDの効率と色域の改善に関係している。同時に、OLEDの弱いフォトン放出の主因、表面プラズモンポラリトンの損失も低減される。これは、低屈折率導電性ポリマが存在するためである。

このアプローチにより、グラフェンベースのOLEDs、40.8%という非常に高い外部量子効率、160.3 lm/Wのパワー効率を達成した。これは、TEにグラフェンを用いたものでは前例がない。さらに、これらのデバイスは完全なままであり、曲げ半径2.3㎜で1000回の曲げサイクル後でも良好に動作する。これは、TiO2のような酸化層を含むOLEDとしては画期的な成果である。酸化物は一般に脆く、相対的に低歪であっても曲げに誘発されて亀裂が生ずる傾向があるからである。研究チームは、TiO2が、曲げに起因する亀裂が起こりにくい、亀裂偏向強靭化メカニズムを持つことを確認した。
(詳細は、www.kaist.edu)