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可視光全域の波長をカバーする、世界で初めての標準LEDを開発

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February, 3, 2016, つくば--産業技術総合研究所(産総研)物理計測標準研究部門光放射標準研究グループ 中澤由莉研究員、丹羽一樹 主任研究員、神門賢二 主任研究員と日亜化学工業は、共同で、可視光全域をカバーする標準LEDを、世界で初めて開発した。
 産総研と日亜化学工業は、中心波長が異なる複数のLED素子と複数の蛍光体を用いて、可視光全域で十分な光強度をもつ標準LEDを開発した。LEDの製造・開発の現場において、この標準LEDを用いることで、固体素子照明の高精度な特性評価が可能となり、製品開発の加速や性能向上への貢献が期待できる。
 従来の白色LEDでは、420 nm~720 nmの波長領域以外では光強度が十分でなく、可視光全域で分光測定をするための標準には適していなかった。今回開発した標準LEDでは、中心波長が異なる複数のLED素子により、380 nm~430 nmの波長領域での光強度を改善するとともに、430 nmより長い波長領域では、青、緑、赤の蛍光を発する複数の蛍光体を組み合わせて光強度を改善した。これにより、標準LEDのスペクトルは380 nm~780 nmの波長領域に広がり、可視光のほぼすべての波長領域で十分な光強度を実現した。
 また、今回開発した標準LEDは、本体の直径が62 mm、発光部の直径が12 mmであり、発光部の温度を常に一定に保つための温度制御機構を実装している。この機構により、標準LEDの周囲温度に対する光強度の変動を0.01 % /℃以下に抑えることに成功した。これは、従来の白色LEDに比べ、約20倍の安定性である(従来の白色LEDの変動は約0.15~0.2 % /℃程度)。さらに、従来の白色LEDは点灯後の光強度が大きく変動するが、今回開発した標準LEDは、点灯後の光強度がほとんど変動しない。
 日亜化学工業は、今回開発した標準LEDの量産化に向けた準備を進める予定である。また、産総研では、今回の標準LED開発で用いたスペクトル精密測定技術をさらに発展させ、面発光光源や紫外光・赤外光領域における光源の評価技術の研究開発を行っていく予定である。
(詳細は、www.aist.go.jp)