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新しい3Dプリンター、多材料から詳細な構造を作製

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July, 9, 2021, Washington--中国Soochow University(蘇州大学) の研究者は、多材料で精密マイクロ構造を3Dプリンティングする新しい方法を開発した。新しいアプローチは、コンシューマ製品や医療デバイス向けに複雑な機能の構造を製造できる準備ができている。

同大学研究チームの一員、Wen Qiaoは、「われわれの3Dプリンティング法は、様々なデバイスの製造に役立つ。微細回路、フォトニックデバイスや微小流体などだ。例えば、様々な特性の多材料で3Dプリントする能力を利用して、洗練された、機能集積のマイクロロボットを作ることができる」とコメントしている。

Optics Expressに発表された論文で研究チームは、いわゆるロール・ツー・プレート(roll-to-plate)プロジェクションマイクロステレオリソグラフィ(PµSL)という新技術を実証している。それを使って、微小な義耳、中国万里の長城の微小レプリカ、折り曲げ可能な翅を持つ多材料の蝶など、微細な構造や物体を作ることができる。

3Dプリンティングをより柔軟に
 PµSLは、デジタルライトプロセシング(DLP)としても知られており、これは確立された積層造形技術であり、透明ボトムのタンク内の液体感光性レジンを配置していくのが一般的。デジタルプロジェクタは、光パターンを光らせ。それがレジン層で全てのUV露光点を硬化、つまり重合化する。これが層ごとに繰り返され、最終的にレジンに物体全体が形成される。

PµSLはマイクロパターニングの強力なツールであるが、それは多材料で複雑なマイクロ構造を作製する目的には利用できない。また、粘性の高いレジンで効果的にプリントすることもできない。重合化後に固まるまで時間がかかりすぎるからである。様々な粘性のマルチレジンを使うことは、多様な柔軟度をもつ個別のパーツの多様な材料で構成された構造を作製するには望ましい。

この限界を克服するために研究チームは、柔軟な膜を利用して感光性レジンを保持、さらにそれを移転させて重合化させるプリンターを設計した。「移転用に膜を利用することで、利用できる材料を拡大し、高粘性の材料で迅速にプリントできるようになる。われわれは、マルチノズルを加えて、多様な材料を供給し、高分解能プリンティングができるようにした」とQiaoは説明している。

新しいプリンターは、ノズルを使ってフォトポリマーを数滴フレキシブル膜に分注する。膜がガイドローラを動くと、ブレードが均一にフォトポリマーを広げる。ブレードと膜の間の距離を調整することで、フォトポリマー層の厚さが、1~200µmまで変更できる。ガイドローラは、フォトポリマー被覆の膜をわずかに広げ、重合化が起こるエリアに膜を移転する。

重合化後、プリントされた構造は、フレキシブル膜が剥がされる。固化したレジンがサンプルに固着し、固化しないフォトポリマー残存物がフレキシブル膜に残ってリサイクルできるように、膜の表面エネルギーは、注意深く設計されている。このプロセスが繰り返されて、層ごとに構造が構築される。

微小、複雑な物体を作製
ロール・ツー・プレートPµSLで、各層を固有の物理的あるいは化学的特性を備えた異なる材料から作ることができる。様々な硬化性ポリマーを移転するためのフレキシブル膜を使うことで材料の交換、材料を替えた時の化学洗浄処理の必要性がなくなる。

研究チームは、新しいプリンターを使って様々な複雑な構造をプリントした。例えば、10µm厚の層を使って0.86 × 2.34 × 1.11立方ミリメートルの万里の長城のミニチュアバージョンを作製した。また、空洞シリンダも作製した。

高さ470µm、壁厚10µm、内部に残存物は存在しない。最大45°まで曲がる翅をもつ蝶は、柔軟な結合部と固い領域を作るために様々な粘性の材料を使って作製された。

各層の厚さを広い範囲で調整できるので、構造の一部でより厚い層を使うことで製造速度を速くすることができる。つまり、あまり詳細でなく、より高分解能のプリンティングを必要とする薄型層の構造である。例えば、マイクロ流体素子の中空チャネルは、高精度にプリントできるが、インレット、アウトレットは、高スループットでプリントされた。

ロール・ツー・プレートPµSLの実用性を示すことができたので、チームは、光ベースのプロセス、グレイスケールフォトリソグラフィを組み込んで、層プリントを不要にする計画である。