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DLPマルチフォトン重合化3Dプリンターを開発

February, 21, 2019, Aachen--フラウンホーファーILT研究所(Fraunhofer Institute for Laser Technology ILT)の研究チームは、ステレオリソグラフィと多光子重合化を用いて、高精度で、コスト効果が優れた3D構築技術を開発している。
 2018年11月1日に、フラウンホーファーILTとそのパートナーは、プロジェクト「UV重合と多光子重合の組み合わせによる積層造形の生産性と細部-HoPro-3D」を発表した。EUとノースライン-ウェストファリア州が助成している。
 LightFab GmbH、Bartels Mikrotechnik GmbH、Miltenyi Giotec GmbHおよびフラウンホーファーILTの技術者は、サブミクロン範囲の分解能を達成する新しい装置を開発している。これまで、さまざまな個別の工程が、この目的のために利用可能になっている。レーザベースのUV重合化、例えば、ステレオリソグラフィ(SLA)、マイクロミラーアレイ(DLP)、マクロスケールのマルチフォトンポリマリゼーション(MPP)。
 SLAプロセスでは、UVレーザがレジンバスに2D構造を描き、感光性材料を重合化させる。コンポーネントは段階的に下げられ、3D構造が層形成される。構築率は1mm3/秒を優に上回る。より新しい3Dプリンターは、UV LED光エンジンとスキャナの代わりにDLP (Digital Light Processor)チップを使う。これにより露光が並列になり、構築率が向上する。両方法とも最大分解能10µm長を達成している。 
 マルチフォトン重合化は、さらに精巧な構造の構築に適している。このプロセスでは、必要なフォトンエネルギーは、高強度レーザパルスで生成され、波長は可視光または赤外域、複数の低エネルギーフォトンが実質的にUVフォトンに加えられる。利点は、全空間方向で最大100nmの極めて高い精度であるが、ここでの構築率はわずか10µm3/秒に過ぎない。

1台の装置に2システム搭載で時間節約
 プロジェクトパートナーは現在、DLPベースのプロセスとMPPプロセスを統合し、2つの選択可能な露光システム、高構築率または高精度のいずれかを選べる装置を開発している。365nm波長で発光する高性能LEDsとHDリソグラフィ解像度のDLPチップが利用される。MPPモジュールは、高速スキャナと顕微オブティクス搭載フェムト秒レーザを使用する。
「利点は、2つの手順の相互作用にある。必要に応じて、工程で露光システムを切り替える。直面している課題はプロセス制御にある。コンセプトは開発されており、現在適切な装置を構築しているところだ」とフラウンホーファーILT、HoPor-3Dプロジェクトマネージャ、Dr. Martin Wehnerは説明している。
 加えて、制御ソフトウエアも開発中であり、これはCADデータに基づいて、何時2つのソース間の切り替えが適切であるかを決める。重要なことは、この移行がスムースに機能し、フォトレジンを変える必要なく、レジンバットで構造物が作製できることである。プロジェクトチームは、さまざまな材料を研究しており、プロセス構成を詳細に最適化している。

アプリケーションは生物医学だけではない
 多くのコンポーネントは、迅速に組立できる本体だけでなく、高精度を必要とする一定の構造を持つ。プロセスの統合により、例えば、レンズ、プリズムなどの光学機能素子が、大型コンポーネントに高精度に直接組込可能になる。このアプローチにより、分析技術における読み取り光学情報のための完璧なコリメーティングオプティクスの作製が考えられる。
 アプリケーション分野は多様であるが、この装置は、生物医学分析技術で利用されるコンポーネントの生産に最も興味深いことが分かる。3D組織モデルのサポートスカフォード、マイクロメカニカルコンポーネント、完全なマイクロ流体システムが、このための典型的なアプリケーション例である。
(詳細は、https://www.ilt.fraunhofer.de)