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NRL、新しいノンメカニカルレーザ操作技術

November, 26, 2018, Washington--海軍研究所(NRL)の研究チームは、先頃、新しいノンメカニカルチップベースビーム操作技術を実証した。これは、高価で、扱いにくく、信頼できないことがあり、効率が良くない機械的ジンバルスタイルレーザスキャナの代替となる。
 可変電気エバネセント光リフラクタ(SEEOR)として知られるチップは、中赤外(MWIR)レーザ光を入力し、機械的デバイスなしで、ビームを2D操作して出力側に向ける。従来の方法よりも、ステアリング能力向上、より高いスキャン速度を実証した。
 「小サイズ、軽量、低消費電力、連続ステアリング能力を考えると、この技術はMWIRビームステアリング技術への有望な方途になる。MWIRスペクトル範囲へのマッピングは、様々なアプリケーションで有用な可能性を示している。例えば、化学センシング、廃棄物処理場、精錬所およびその他の工業ファシリティからの排出物モニタリングなど」とNRL光科学部門、研究物理学者、Jesse Frantzは話している。
 SEEORは光導波路をベースにしている。レーザ光は、一方の面から入り、導波路のコアを伝播する。導波路に入ると、光の一部は、コア上方の液晶(LC)に定在する。一連のパタン化された電極を通してLCに印可された電圧が、導波路の一部で屈折率を変え(実際は、材料内の光の速度)、導波路は可変プリズムとして機能する。導波路と電極を注意深く設計することで、この屈折率変化は、高速で連続的な2Dステアリングに変換される。
 SEEORsは、元は、通信用途のスペクトル、短波赤外(SWIR)光の操作目的で開発され、さらに自動運転車の誘導システムにアプリケーションを見いだした。
 「MWIRで有効なSEEORの実現は、大きな挑戦であった」とFrantzは言う。「ほとんどの一般的な光学材料はMWIR光を伝播せず、その導波路構造に不適合である。したがって、これらのデバイス開発は、材料工学の力業を必要とした」。
 これを実現するためにNRLの研究チームは、MWIRで透明な新しい導波路構造とLCsを設計した。また、これらの材料を形成する新しい方法、LCsで多くの光吸収なしでアライメントを誘導する新方法を設計した。この開発は、多数のNRL部門の取り組みを統合している。
 結果としてのSEEORsは、14°×0.6°の角度範囲でMWIR光を操作できた。研究チームは現在、SEEORの動作範囲が広がる、この角度範囲と光スペクトルを広げる方法に取り組んでいる。