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高出力レーザのその場でリアルタイムモニタリングに新パワーメータ

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June, 6, 2018, Orlando--NISTの研究チームは、「スマートミラー」という折り畳み形状のコンパクト、高精度、使用時のレーザパワーメータを開発した。これにより、使用時に、レーザパワーのリアルタイム計測が可能になる。
 ハイパワーレーザは、精密切断、金属溶接のために、アディティブマニュファクチャリング、レーザ溶接システムで広く用いられており、あらゆる種類の金属部品が医療デバイス、航空宇宙アプリケーション、自動車産業で利用できるようになっている。ハイパワーレーザ加工の産業用途の増加にともない、メーカーは、製造工程でいつでもレーザパワーを素早くレポートできる、高精度の、その場で使えるレーザパワーメータをますます必要とするようになっている。これは,製品品質をコントロールするための重要な側面だからである。従来のレーザパワーメータは,サイズが大きく、応答時間が遅いことが多々ある。パワー計測は分離してのみ可能であり、製造工程を中断することになる。
 今度、NISTの研究グループが、折り畳みミラー形状、いわゆる「スマートミラー」で小型、高速、高感度レーザパワーメータを開発した。新しい設計は、コンデンサベースを使用し、光学素子、つまり高反射ミラー、およびセンシング素子をコンパクトなキューブパッケージにまとめている。一辺が4㎝の立方体は、レーザ光学系、つまりレーザ溶接システムに簡便に組み込まれており、その場でリアルタイレーザパワー計測とキャリブレーションができる。研究グループは、研究成果を6月に開催されるOSA Imaging and Applied Optics Congressで発表する。
 「ミラーに当たるレーザビームの圧力を計測することでレーザパワーを計測することは、非常にユニークな技術である。これまでそれは、その場のプロセスでのレーザパワー計測技術でしかない。他の光パワー計測技術と違い、われわれの方法では、計測しながらレーザを作業に使い続けることができる」とNISTの研究者、Alexandera B. Artusio-Glimpseは説明している。
 Artusio-Glimpseの説明によると、従来のハイパワーメータは、レーザビームの全エネルギーを熱として吸収し、温度変化を計測することによりレーザパワーを計測する。熱量測定は、数十分程度、レーザビームの作業を止めなければならない。
 スマートミラーレーザパワーメータは、放射圧パワーメータ(RPPM)とも呼ばれる。動作原理がレーザの圧力計測、つまり放射圧計測に基づいているからである。光は質量を持たないが、運動をもつ。レーザビームがミラーのような物体に当たるとき、ミラーに対して放射圧として知られる微小な力を働かせる。これはレーザパワーに直接関係している。例えば、200Wのレーザパワーは、10マイクログラム相当の力を発揮する、これは人のマツゲ程度の重量である。
 スマートミラー設計の重要部分は、コンデンサベースのコンパクトな力変換器である。それは、らせん状平面シリコンスプリングで構成されている。スプリングは、片側に高反射ミラー、反対側に電極を持つ円板。電極を持つ同じシリコンスプリングが、最初のスプリング近くに置かれている。これは、2つの電極が互いに向き合うようにするためであり、可変コンデンサが形成されている。第1のスプリングのミラーから反射されるレーザビームが第1のスプリングを第2の方に押し、2つの電極間の電気容量が変化する。固定基準コンデンサと比較することで研究者は放射圧とレーザパワーを計算することができる。ミラーから反射した後、レーザビームは直接作業に使用することができ、レーザパワーあるいはレーザキャリブレーションのリアルタイムモニタリングが可能になる。
 研究チームは、数年前から新しい放射圧パワーメータを開発しており、最終システムは靴箱程度のサイズで、計測感度は50マイクログラム、応答時間は5秒だった。
 新バージョンのスマートミラーでは、計測感度が100倍向上し、応答時間は50倍短縮した。また、デバイスが回転しているとき、重力によるデバイスの静的サギング誤差も緩和した。これにより、センサをロボットアーム端、アディティブマニュファクチャリング、レーザ溶接システムなど、レーザヘッドが動いたり回転するところへセンサを組み込むことができる。これは,初期バージョン、大きなRPPMにない重要な特徴である。
 暫定的な試験に基づいて、新しいパワーメータは、不確かさ1%でレーザパワー100Wを計測できる感度となっており、応答時間は他の絶対ハイパワーレーザメータと比べても高速である。