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ライス大学化学者、3Dプリントグラフェン・フォウム作製

July, 12, 2017, Houston--ライス大学と中国天津大学のナノテクノロジストは、3Dレーザプリンティングを使って原子レベルの薄さのグラフェンのセンチメートルサイズの物体を作製した。
 この研究は、産業的に有用なバルクグラフェン量を生み出すことができる。
 ライス大学化学者、James Tourによると、この種の研究は初めてである。「われわれは、非グラフェン出発材から3Dグラフェンフォウム(泡)を作る方法を示した。また、その方法は細孔径を制御した積層造形アプリケーション向けグラフェンフォウムへの拡大に役立つ」。
 グラフェンは、10年来最も熱心に研究されたナノマテリアルの1つであり、超高強度、伝導性を兼ね備えた2D純炭素である。研究者はグラフェンをあらゆるものに使いたいと考えている。ナノエレクトロニクスから航空機除氷装置、電池、骨のインプラントまでである。しかし、ほとんどの産業アプリケーションは、3D形状のバルク量グラフェンを必要としており、研究者はバルク3Dグラフェンを簡単に作る方法を見出そうと苦闘している。
 例えば、TourLabの研究者は、2016年後半、レーザ、粉末砂糖、ニッケルを使って3Dグラフェンフォウムを作り始めた。今年初め、カーボンナノチューブでフォウムを補強できることを示した。作製したのは、その重量の3000倍を支持しながら形状を維持できる「3Dリバーグラフェン」と名付けられた材料である。しかし3Dリバーグラフェンの作製は容易ではない。製造前の3Dモールド、1000℃化学気相法(CVD)プロセス、3時間の加熱と冷却が必要になる。

最新の研究では、研究チームは、通常の3D 選択的レーザ焼結技術を適用してグラフェンフォウムの指先サイズのグラフェンブロックを作製した。プロセスは室温で行われる。モールドは不要、出発材は粉砂糖とニッケル粉末。
「この簡単で効率的な方法により、コールドプレスモールドと高温CVD処理は不要になる」と共リードオーサ、Junwei Shaは説明している。「このプロセスを使って特殊タイプのグラフェンフォウムを作ることができる。例えば、3Dプリントされたリバーグラフェン、先駆体粉末を変えることで、窒素添加グラフェンフォウムを、硫黄添加グラフェンフォウムを作ることができる」。
 3Dレーザプリンタは、よく知られた押出ベース3Dプリンタとは違った動作をする。2Dパタンを描きながら、溶けたプラスチックを針から絞り出して物体をつくる。3D選択レーザ焼結では、レーザが平坦な粉末床を照射する。レーザが粉末に触れるところでは、レーザが粉末を溶かし焼結して固形にする。レーザはラスタ動作で前後に動き、大きな物体をラインごとに2Dスライスを作る。次に新しい粉末層が、その層の上に供給され、プロセスが繰り返されて、連続的な2D層から3Dの物体が構築される。
 その新しいライス大のプロセスは市販のCO2レーザを使った。このレーザが砂糖とニッケル粉末に照射されるとき、砂糖は炭素源に分解され、ニッケルは触媒として働いた。レーザが次のスポットに移った後に混合物が冷えてグラフェンが形成され、研究チームの徹底研究によりグラフェン製造を最適化する時間とレーザパワーの最適値が明らかになった。
 その工程で作製されたフォウムは、体積の99%以上を占める大きな穴を持つ低密度グラフェン3D形態である。
 「われわれの方法で準備された3Dグラフェンは、迅速なプロトタイピングを必要とするアプリケーションに有望であることを示している。また、エネルギー保存、ダンピング、吸音を含む3Dカーボン材料製造にも有望である」と共著者、Yilun Liはコメントしている。
(詳細は、www.rice.edu)