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3D製造システムを危険にさらすサイバーアタック

November, 11, 2016, Negev--3大学の研究チームが、3D積層造形(AḾ)システムへの初の完全破壊(サボタージュ)攻撃のデモンストレーションを行い、サイバー攻撃と悪意のある設計図操作でデバイスや機器の製造がどのように致命的な損害を受けるかを示した。
 論文Dr0wnedでは、ネゲヴ・ベン=グリオン大学(BGU)、南アラバマ大学とシンガポール技術・設計大学の研究チームが、デバイスの破壊につながる、3Dプリント機能部品の品質に対するサボタージュ攻撃の仕方を詳細に説明している。
 概念実証ビデオは、研究者がどのようにして、3Dプリンティング制御に使用するコンピュータに不正侵入してプロペラを差し替え1000ドルのクワドコプタUAVドローンを破壊するかを示している。コンピュータに侵入すると、プロペラの設計図ファイルを特定し、視覚的には分からない欠陥を挿入する。飛行テスト中、破壊工作されたプロペラは上昇する中にバラバラに壊れ、ドローンを地面に衝突させた。
 航空宇宙、自動車や防衛を含む100以上の産業が積層造形(AḾ)工程を採用している。Wohlers Reportによると、AḾ産業は2015年の販売額が51億6500万ドル。さらに、全AḾ製造物の32.5%が機能部品として使用されている。
「敵対者が航空機のジェットエンジンに使用されている機能部品に破壊工作を行うことができると考えると、そのような攻撃は人命の損失、経済的な損失、産業の破壊、国の安全に対する脅威になる」とYuval Elovici教授は指摘している。同氏は、BGUのソフトウエア・情報システム工学部のメンバーで、ドイツテレコムイノベーションLabおよびBGUサイバーセキュリティ研究所(CSRC)のディレクタ。CSRCは、同大学とイスラエルの国家サイバー室との共同で、最先端のサイバーセキュリティ問題に取り組んでいる。
「世界的に積層造形が増加しており、このようなシステムに悪意のある攻撃を行う能力が、多くの敵対者の注意を惹きつけており、その範囲は犯罪組織から国家の活動家まで広がる。彼らの狙いは利益か、地政学的な力のいずれかである」とElovici氏はコメントしている。