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レーザでトンネルコンクリートの健全性を高速で検査

January, 20, 2016, 東京--日本原子力研究開発機構、レーザ技術総合研究所(レーザ総研)、理化学研究所(理研)の合同研究グループは、コンクリート内部の外からは見えない「ひび割れ」等の欠陥をレーザにより検出する「レーザ欠陥検出法」と呼ばれる技術を高速化し、従来の50倍の速さでの欠陥の検出に成功した。今後、実際のトンネルコンクリートで想定される様々なタイプの欠陥の検出を検証していくことで、従来の打音法に代わる、遠隔・非接触のトンネル安全性検査技術として期待されるむ。
 トンネルコンクリート内部の欠陥は、崩落事故などにつながる危険があるため、確実に検出する必要があるが、従来の打音法では、検査速度が遅く、膨大な数のトンネル検査には時間がかかるうえに、接触式の検査であるため検査員に危険も伴う。そこで高速・非接触な検査技術の開発が望まれている。
 レーザを用いた遠隔・非接触式のトンネルコンクリート内部の欠陥検出法である「レーザ欠陥検出法」では、強いレーザ光を照射することで表面に振動を与え、その振動を別のレーザ光で詳細に調べることで、コンクリート内部の欠陥を検出する。この方法の原理実証は、JR西日本とレーザ総研によりなされているが、計測の速さが2秒間に1回に限られており、さらなる検査速度の向上が望まれていた。
 合同研究グループは検査速度の高速化に取り組み、原子力機構が主として高速動作が可能な光増幅器を開発することでレーザの高速運転を可能とし、レーザ総研が主としてガルバノ鏡を利用した高速掃引機構の開発と取得データ解析の高速化を行うことで、コンクリート供試体の中の欠陥を、従来の約50倍に相当する、1秒間に25回(25Hz)の速度で検出することに世界で初めて成功した。
 今後、実際のトンネルにおける様々なタイプの欠陥が検出できることを検証・確認していくことで、将来的には、打音法に代わる遠隔・非接触のトンネル安全性検査技術につながることが期待される。
 研究成果は、2016年1月10日のレーザ学会第36回年次大会において口頭発表される予定。