Products/Applications 詳細

世界初、高輝度青色半導体レーザ搭載複合加工機を開発、製品化

October, 31, 2018, 東京--NEDOプロジェクトにおいて、大阪大学、ヤマザキマザック(株)、(株)島津製作所は、高輝度青色半導体レーザを活用した金属積層技術と、切削技術を融合したハイブリッド複合加工機を世界で初めて開発した。今後、ヤマザキマザック(株)は、生産ライン整備などを経て、2019年の製品化を目指す。

このハイブリッド複合加工機は、従来の近赤外線レーザ搭載複合加工機では加工が困難であった純銅などの難加工材料について、高効率で高品質な溶接や積層が可能。これにより、純銅と他の金属材料との異種材料接合も可能で、航空・宇宙・電気自動車などの産業で必要とされるエンジン周辺の高放熱部材などの加工に活用することが期待できる。

青色半導体レーザは、金属に対する吸収効率が高く、従来の近赤外線レーザでは困難だった金や銅などの加工に適しているため、金属向け次世代加工機の光源への応用が期待されている。特に、銅素材の加工については、銅が高い放熱性を持つことから、航空・宇宙・電気自動車などの多くの産業から実現が期待されている。しかし、これまで青色半導体レーザは、高輝度化などが課題で、複合加工機への搭載は元より、レーザ加工機への搭載も進んでいなかった。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクトにおいて、大阪大学接合科学研究所の塚本雅裕教授らの研究グループ、ヤマザキマザック株式会社、株式会社島津製作所は、日亜化学工業株式会社と株式会社村谷機械製作所の技術協力を受け、世界で初めて、高輝度青色半導体レーザを搭載したハイブリッド複合加工機を開発した。今後、ヤマザキマザックは、この複合加工機の生産ライン整備などを経て、2019年の製品化を目指す。

このハイブリッド複合加工機には、NEDOプロジェクトの成果をもとに島津製作所が2018年1月に製品化した出力100Wの高輝度青色半導体レーザ光源を組み込んだマルチビーム加工ヘッドを搭載している。3台の高輝度青色半導体レーザ光源それぞれから出力されるビームをマルチビーム加工ヘッド技術で重畳することによって、集光位置での出力300Wを実現した。これは、純銅粉末を溶融させるのに十分なパワー密度であり、高効率で高品質な純銅の溶接・積層が可能となる。また、このハイブリッド複合加工機は、切削5軸加工とレーザ加工を合わせて行うことが可能。純銅と他の金属材料の異種材料接合も容易であり、切削加工との工程集約が可能となることから、純銅表面をコーティングして放熱性を向上させた高放熱部材など、航空・宇宙・電気自動車に必要なエンジン周辺などの部品加工への応用が期待される。

このハイブリッド複合加工機は、2018年11月1日~6日まで東京ビッグサイトで開催される第29回日本国際工作機械見本市「JIMTOF2018」でヤマザキマザックが公開し、実機によるデモンストレーションを行う。
(詳細は、http://www.nedo.go.jp)