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フラウンホーファー、腎臓結石の迅速な分析にラマン分光使用

October, 19, 2015, Freisburg--腎臓結石は最も一般的な病気にランクされている。再発は適切な術後処置によって防げる。しかし、それには結石の組成を知らなければならない。フラウンホーファーの研究チームは、術後の尿路結石の迅速な分析のためのシステムを開発している。
 科学的な研究によると、個別患者の経過治療や適切なメタフィラクシス策により新たな結石の形成は50%少なくなる。業界のパートナー、フライブルク大学病院センタと協力してフラウンホーファーIPMの研究者は、迅速かつ自動的に腎臓結石を分析する新しいラマン分光ベースの診断システムを開発しており、これにより結石処置後の患者の経過治療が大きく改善される。このプロジェクトのフラウンホーファー研究チームは、腎臓結石処置の最新方法を専門にしている泌尿器科医と協力している。
 研究チームはラマン分光技術を採用しており、これにより結石の特定を迅速に行うことができる。この方法は、「化学的フィンガープリント」と呼ばれる、検査した試料の可視領域スペクトル特性を利用する。「試料は、レーザ光を使って照射される。約1%のフォトンが、試料に特徴的な別のスペクトルで戻ってくる。その信号をデータベースに記録する」とフラウンホーファーIPMのDr. Arkadiusz Miernikは説明している。研究チームは、コンピュータソフトウエアを使ってラマン分光中に生ずる蛍光バックグラウンドを除去する。
 この方法では、比較的安価な光コンポーネントが使用されており、濡れていても、未処理サンプルでも動作するので、試料の準備時間は大幅に短縮される。「結石は、以前は、分析に先立って乾かし、細かく砕いておかなければならなかった。われわれのシステムでは、これが不要になる。手術中に収集した結石の破片をさらに処理する必要はない。原理的に、それらは直接ラマン分光計に入れて分析すればよい」と同氏は説明する。
 現在、大型の分析装置を使ってこのような処理を行うことができる特殊研究所は数少ない。臨床設置で直ちに利用でき、自動分析に適したコンパクトな装置は、まだ利用できるようになっていない。
 フラウンホーファーIPMのプロトタイプはすでに存在するが、このプロトタイプは市場投入までにさらなるコンパクト化が必要である。同システム固有の特徴は、特別なデータベースである。情報インデクスは、尿道結石の99%を構成する7つの純物質のデータから作成されている。研究チームは、最初の実証段階でソフトウエア構築に際して、約160の腎臓結石サンプルを調べた。さらに、その結果は、参照試験所で従来の赤外ベースの分析を行い確認した。「完璧なシステムの臨床準備ができると、泌尿器科医は術後直接結石サンプルを調べることができるようになり、患者ケアの質は大幅に向上する」とMienik氏はコメントしている。