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理研、生きた霊長類の脳内で神経細胞の「スパイン」を観察

September, 17, 2015, 和光--理化学研究所脳科学総合研究センター高次脳機能分子解析チームの山森哲雄チームリーダー、定金理研究員、生理学研究所の伊佐正教授らの共同研究グループは、新世界ザルであるマーモセットの大脳皮質において、2光子顕微鏡を用いてスパインと呼ばれる神経細胞の微細形態を生体内で可視化する手法を開発した。
 大脳皮質の神経細胞は、他の神経細胞群との情報伝達を行うために複雑な形態を持っている。その構成要素の一つである樹状突起には「スパイン」と呼ばれる微細な突起構造がある。神経細胞間のスパイン結合の度合いの変化は、個体の学習や記憶の基盤であると考えられている。したがって、生体内のスパインを直接観察する手法は、学習や記憶に伴って生じる神経細胞ネットワークの変化や、その基盤となる分子メカニズムを調べるためにあたって極めて重要。しかし、スパインを生体内で可視化する手法は主にマウスでの研究に限られており、ヒトに近い霊長類での研究には適用されてこなかった。研究グループは、新世界ザルであるマーモセットにおいて、スパインを生体内で可視化する手法を開発することに取り組んだ。
 共同研究グループは、遺伝子発現を増幅させるTet-Offシステムを用いることで強い発現を促し、Thy1Sプロモーターが乗ったウイルスベクターの濃度を適正なレベルまで調節したことで、マーモセットの脳内の神経細胞に緑色蛍光タンパク質(GFP)を「強く」「まばらに」発現させ、生体内のスパインを経時的に観察することに成功した。これは霊長類の脳においては世界で初めての報告。今後、霊長類の大脳皮質が関与する、学習過程における神経細胞ネットワークの変化や分子メカニズムを解明が期待できる。
(詳細は、www.riken.jp)