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フラウンホーファーILT、レーザ光で人工血管製造

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September, 8, 2015, Aachen--人工の3層灌流皮膚モデルにより、EU研究プロジェクトArtiVasc 3Dは未知の領域に踏み込みつつある。
 フラウンホーファーレーザ技術研究所(Fraunhofer Institute for Laser Technology)ILTをリーダーとする学際的研究チームは、革新的な素材から人工血管を作製するための3Dプリンティングプロセスを開発した。研究チームは、従来可能であったよりもはるかに大きな層厚の全層皮膚モデルを涵養する基礎を実現した。10月28日フラウンホーファーILTで行われるプロジェクト終了イベントでは、ArtiVasc 3D研究者が成果の詳細を発表する。
 これまでは、身体外、最大200µm厚で皮膚の上皮層を涵養することしかできなかった。しかし、完全な皮膚は厚さ数㎜の皮下組織を含む。皮下組織をいっしょに作製したいなら、この組織に血液を供給する血管が不可欠になる、約200µm厚の細胞集合体は、血液がなければ生きていないからである。欧州研究プロジェクトArtiVasc 3Dが始まった理由はここにある。同プロジェクトは、人工血管を開発することで、生体外で非常に複雑な組織の作製を可能にする目標を立てていたからである。
 プロジェクトArtiVasc 3Dが直面した最大の課題の一つは、人工血管作製のための適切な材料を開発することだった。人体内で使用されるには、これらの血管は、完全な加工可能性とともに、適切な機械的特性と生体適合性がなければならない。言うまでもなく、内皮細胞や周皮細胞は人工血管をコロニーにすることができなければならない。
 このような特性を実現するためにフラウンホーファーの研究チームは、インクジェットプリンティングの自由形状法と光造形法とを結びつけた。このような結合されたプロセスにより、研究チームは、層厚約20µmの分岐した多孔質の血管作製で微細解像度を達成することができた。研究チームは、数学的シミュレーションを使用して、分岐構造作製用のデータを開発した。このデータは、分岐構造が均一な血流を可能にするような条件を実現する。プロジェクトで開発されたアクリルベース合成ポリマの利用することによって、研究者は、直径数100µmの孔をもつ、これらの最適化された血管を作製することができる。従来の方法と比べると、ArtiVasc 3Dプロセスは、初めてこのサイズで、分岐した生体適合血管を策せする一般的条件を提供できる。
 ArtiVasc 3Dの成果は将来を画するものである。多様な素材、形状、サイズに柔軟に反応できるツールボックスはすでに開発されている。このような成果は、人工血管作製の全自動プロセスチェーンの先駆と見なすことができ、また既存ラインに組み込むことも可能である。このプロジェクトのもう1つの注目点は、新しいバイオリアクタにおける脂肪組織の増殖成功である。脂肪組織と既存の皮膚モデルとの結合により、厚さ最大12㎜の全厚皮膚モデルの作製が可能になった。とは言え、3D征服成功は皮膚に限定する必要はない。ArtiVasc 3Dプロジェクトは、3D組織エンジニアリングの基礎も築いた。人工血管の血流原理を利用することで、医療エンジニアは、将来的に臓器全体など、より大きな構造を作製することができるようになる。生体外で培養された完全な皮膚には多くの応用がある。火傷あるいは腫瘍切除のような広範囲の皮膚損傷の当座の処置、取り替えモデルは製薬業界で動物実験を不要にする。
 血管そのものが開発されるだけでなく、皮膚全体のシステムを全自動的に涵養するために必要な技術も4年のプロジェクト期間で開発されなければならなかった。この非常に意欲的な課題は学祭的なネットワークでしか達成できなかった。ヨーロッパ全体で、生体材料開発分野から、再生医療、自由形状法、自動化とシミュレーションまで20のパートナーが、フラウンホーファーILT指導下に結集した。