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採血せずに光で血糖を計測する技術を開発

January, 27, 2015, Dubendorf--スイス連邦材料科学・技術研究所(Empa)とチューリッヒ大学病院は共同で、皮膚に接触させて血糖値を計測するセンサを開発した。
 この技術は、血液サンプルは不要であり、調整さえも不要。グルコライト(Glucolight)は、まず早生児に使用し、低血糖症やそれによる脳損傷を回避する。
 皮膚センサはすでに存在するが、それは使用前に調整が必要である。つまり皮膚の透過値を知る必要がある。そのためには、血液サンプルで血糖値を判定し、皮膚のグルコース濃度を計測しなければならない。これを読み取ることで透過性が計算され、センサの調整ができる。
 グルコライトは、早生児の血液サンプルなしで済ませる。センサの新しい計測技術によって血糖値を恒久的にモニタすることができる。この技術は複数の部分で構成されている。チューリッヒ大学病院で開発された微小透析計測ヘッド、これにはEmpaで開発された「スマート」膜をつけている。光源、ポンプ、蛍光光度計月の微小流体チップ、これもチューリッヒ大学病院が開発した。
 スマートEmpa膜は特殊な色素分子、スピロピランを含む。UV光がこのスピロピラン分子に照射されると、その化学構造が変わり帯電する。可視光が照射されると、元の中性構造に戻る。結果として、UV光を照射すると膜が「開き」、皮膚の皮膜から比較的容易にグルコース分子が発散する。可視光を照射すると膜を透過するグルコース分子は著しく減少する。
 計測は、サイズ3㎝程度の計測ヘッドを早生児の皮膚に接触させて可視光を照射する。皮膚の皮膜を通してグルコース分子がわずかに拡散する。膜の反対側では、グルコースは液体と混ざり、微小流体チップを通してポンプされ、酵素が加えられて反応が始まる。反応が起こっている間、蛍光が現れ、これを蛍光光度計で計測する。コンピュータがそれを読み取ってグルコース濃度を計算する。このプロセスは次に、UV光で繰り返される。すると、コンピュータはこれら2つの違いを読み取って早生児の血糖値を計算する。
 初の臨床研究は2015年チューリッヒ大学病院で行われる予定。研究チームは、グルコライトを他の分野、糖尿病などでも利用することを考えている。