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レーザでフルーツの熟成を調べる

December, 10, 2014, Washington--レバノンの聖ヨゼフ大学とフランスの西ブルターニュ大学の研究チームは、「クライマクテリックフルーツ」(急速に成熟が進む、リンゴ、バナナ、トマトなどの果物)の収穫時を検出する技術を開発した。
 「クライマクテリックフルーツは、木や蔓から採ると成熟が進むので、エチレンが放出され、最大エチレン放出を示すクライマクテリックピークによって特徴づけられる」と研究チームのポスドク研究者、Rana Nassif氏は説明している。同氏によると、このピークは、その果物が成熟に達したことを示している。このポイントを過ぎると果物に菌が侵入しやすくなり、細胞死による劣化が始まる。
 コヒレント光を生物媒質に照射することで生成するバイオスペクル活性をとることで研究チームは、ゴールデンアプルのスペクルパタンの2つのバッチの変化を、低温と室温の2つの温度環境で成熟プロセスにしたがって調べた。
 この研究のために、簡単なセットアップを利用した。コヒレント光、レーザビーム、偏光子と1/4波長板で異なる入射偏向を生成し、デジタルカメラでスペクルパタンを記録した。「簡便さと低コストがわれわれの技術の重要な利点だ」とNassif氏は言う。
 レーザ光は、散乱、吸収、反射などの多様なプロセスでどんな媒体とでも相互作用する。媒体によって散乱されるフォトンは入射光フィールドと干渉してスペクルパタンを作り出す。「スペクル粒子と言われる一群のきらめく粒子とダーク粒子がこのパタンを作り出す。媒体が生物なら、つまりそれに何らかの細胞活動があるなら、スペクルパタンは、時間経過にともなう変化を示す。しかもこのパタンは媒体の散乱特性に依存する、つまりその性質に依存する」と同氏は説明している。
 取得したスペクルパタンは参照基準と関連づけることができる。基準は、主成分分析によって得られた放出エチレン濃度をベースにしている。このアプローチによって非侵襲的代替法でバイオスペクルを評価し、呼吸速度、エチレン生成を知ることができる。これらは現在クライマクテリックピーク検出、熟度指数として使用されている。
 研究チームは、スペクルゲインサイズによってリンゴの拡散特性、内的活性の様子を調べ、異なる光偏向で一連の画像間の時間的相関関係を記録した。「一方で、スペクルグレインサイズに見られた変化は、室温環境下のリンゴのクライマクテリックピークに対応する変曲点を示していた。他方、時間相関係数の動きは、クライマクテリックピークの日が来るまでのリンゴの活性が上昇することを示している。これに続いて劣化段階の始まりを示す下降が起こる」とNassif氏は説明している。