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分子の「振る舞い」をリアルタイムで見る

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August, 22, 2014, Cambridge--光をナノスケールでトラップして個々の分子の屈曲とたわみをリアルタイムでモニタリングする新技術は、細胞の内部の変化がガンのような病気にどのように進んでいくかを理解するのに役立つ可能性がある。
 新しい方法は、分子の「ダンス」をリアルタイムで見るために、1mの10億分の1離れた金のミラーの間にトラップして閉じ込めた光を使う。これによって研究者は、全ての生命にとって重要な細胞プロセス、これらのプロセスのわずかな変化がガンやアルツハイマーなどの病気にどのように進んでいくか、など多くのことを明らかにすることに役立つ。
 ケンブリッジ大学の研究チームは、個々の分子がモデル細胞膜を通過する際にその屈曲と撓みを見るための、光の使い方を示した。目的は、細胞の内部構造の理解を進めることにある。
 膜は、細胞の正常な機能にとって不可欠である。ウイルスは締め出すが、薬剤など選択した分子は通過させる。細胞防御のこの重要な前線は、わずか数ナノメートル厚の脂質層でできている。
 細胞膜が損傷を受けると、不要な侵入者が細胞に入ってくる。多くの変性疾患、アルツハイマー、パーキンソン、嚢胞性線維症、筋ジストロフィなどは、細胞膜の障害が原因となると考えられている。
 個々の脂質分子がその環境とどのように相互作用するかを見ることができると、研究者はこれらの病気や他の病気が初期段階でどのように振る舞うかを理解できるだけでなく、すべての生命にとって重要な基本的な生物学的プロセスの多くの理解の助けになる。
 個々の分子レベルで細胞膜の振る舞いを見るために、ケンブリッジの研究チームはリーズ大学(University of Leeds)の研究チームと協力して、平坦な金の表面の直ぐ上にある、金のナノ粒子の微小間隙に分子を押し込めた。
 そのナノ構造の形状を高精度制御し、超高感度分子同定技術、ラマン分光法を用いることで、光をミラーの間にトラップし、研究者は個別分子の「フィンガープリントを採る」ことができる。
 ミラーによって散乱された光波長を分析することで、分子ごとに異なる振動をこの強い光場内で見ることができる。「光でそのような微妙な生物学的サンプルをプローブすることにより、分子に変化を与えることも、分子を壊すこともなく、長時間にわたり分子の振動を見ることができる」とFelix Benz氏は言う。
 散乱光を連続的に観察することで、個々の分子がミラーの間の微小な隙間を出入りするところが見える。個々の分子の異なる部分からの固有の特徴を注意深く分析することで分子形状のどんな変化も観察することができる。これは、分子が活動中にその反応部位がどのように顕わになるかを理解するのに役立つ。この屈曲と撓み動作は、実験のゆっくりとした時間スケールでは起こることが期待できないので、研究チームはその進行状態のビデオを作成した。
 この研究から得られた新たな洞察は、すべての生命にとって重要なプロセスを明らかにし、これらのプロセスのどんなに小さな変化でも病気を起こすことを理解する方法を示唆している。