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Fraunhofer IPM、単分子を検出する新方法

November, 15, 2021, Hackensack--抗生物質耐性が世界中で上昇している。フラウンホーファー(Fraunhofer Institute for Physical Measurement Techniques IPM)の研究者は、ミュンヘンルートヴィヒマクシミリアン大学(Ludwig Maximilian University of Munich)とともに、多剤耐性病原菌を迅速に検出するプロセスを開発した。
 固有の特性は、DNAの単分子でも病原菌検出に十分であること。将来、そのプラットフォームは、病棟のPOC診断の一環として、あるいは医療行為に、確立されたPCR分析の代替として、他の診断法と組み合わせて導入できる。同システムは、MEDICA 2021で発表される。

細菌感染の処置に正しい抗生物質を選ぶことは、処置成功の決め手である。病気が、多剤耐性病原菌によって起こるような場合、適切な薬剤の選択は特に難しい。病原菌が、多くの抗生物質の影響を受けないからだ。最も効果的な抗生物質を探すには、細菌のゲノム情報が必要になる。ほとんどの場合、この情報は医療行為で直ぐに利用できることはなく、研究室の診断でしか得られない。そのプロセスを加速し、簡素化するためにFraunhofer IPMは、ミュンヘンルートヴィヒマクシミリアン大学と協力して、微小流体チップで単一分子に基づいて病原菌を検出する新しいプラットフォームを開発した。SiBoF(分子診断における蛍光アセイ用信号ブースタ)プロジェクトは、使いやすいPOC検出法である。プロジェクトは、BMBFの助成を受けている。

DNA分子に基づいた病原菌特異的検出
ポータブルでコンパクトなテストプラットフォームは、自動流体システムを備えている。全ての必要な試薬はシステム内にある。射出成形型マイクロ流体チップは、テストシステムのドローにあり、光分析前に流体システムから試薬が供給される。「われわれは、病原菌のDNAストランドの一部を検出する。われわれの新しいプロセスを使い、マイクロ流体チップの特定サイトに結合したDNAの単分子でさえ、これの実施には十分である。流体チャネルはチップに組み込まれている。その表面には、特定病原菌のための結合サイトが用意されている」(Dr. Benedikt Hauer)。

ナノアンテナが蛍光信号を増強
一般に、ターゲットDNA分子は特異的蛍光マーカーによって検出される。Fraunhofer IPMとミュンヘンルートヴィヒマクシミリアン大学が設計した新しい方法固有の特徴は、ナノメートルサイズのビーズを備えたアンテナを研究者が利用すること。それが、これらマーカーの光信号を増幅する。このため、PCRによる化学的増幅は不要である。「光アンテナは、ナノメートルサイズの金属粒子で構成されている。これらが光を微小領域に集め、発光を支援する。マクロスコピックアンテナが無線でするのと同じである」とFraunhofer IPM、この研究プロジェクトのプロジェクトマネージャ、Hauerは説明している。これら金属粒子は、チップ表面に化学的に結合している。

一時間後に結果が利用可能
DNA分子の構造、つまり「DNAオリガミ」は、ミュンヘンルートヴィヒマクシミリアン大学が特別に設計したものであり、ゴールドナノ粒子で固定される。これらのナノ粒子の間で、その構造は、それぞれのターゲット分子の結合サイト、蛍光マーカーを提供する。この特許設計は、新しいアセイ技術の基盤である。「100nmサイズの粒子がアンテナとして機能する。プラズモン効果によるフィールド増強が、2つのゴールドアンテナの間のホットスポットで起こる。そこに蛍光染料があると、検出可能な長波蛍光放射が何倍も強化される。この方法により、小さなコンパクト光学デバイスを利用して単分子が検出できる」と研究者は説明している。低濃度病原体が検出可能である。結果は、一時間後に利用可能となり、モニタのディスプレイに表示される。これは、多剤耐性病原菌だけでなく、どんなタイプのDNA分子でも言えることである。原理的に、単分子アセイは、DNA以外の分子、RNA、抗体、抗原あるいは酵素にも適用可能である。多くのテストが、そのプロセスの機能確認に成功している。

POCデバイスの中心に、Fraunhofer IPMが開発した微小高分解能蛍光顕微鏡がある。特別に開発された画像分析ソフトウエアが単分子を特定する。そうすることで、捉えたターゲット分子がカウントされ、定量的結果が得られる。蛍光は、流体チャネルを含むカートリッジ下に貼りつけられたLEDsを使って刺激される。

(詳細は、https://www.ipm.fraunhofer.de)