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コーネル大学、記録的な解像度で原子を見る

August, 4, 2021, New York--2018年、コーネル大学の研究者は、タイコグラフィというアルゴリズム駆動プロセスと組み合わせてハイパワーディテクタを組み込み、最先端の電子顕微鏡の分解能を3倍にし,世界記録を達成した。

それは成功だったが、そのアプローチには欠点があった。数原子厚の超薄サンプルでしか機能しなかった。それよりも厚いものは電子を散乱させ、分解できない。

今回、工学Samuel B. Eckert教授、David Mullerをリーダーとするチームが、より洗練された3D再構成アルゴリズムを装備した電子顕微鏡ピクセルアレイディテクタ(EMPAD)で、その記録を2倍上回った。

分解能は,微調整されており、唯一残るボヤケは、原子自体のサーマルジグリングである。

論文、“Electron Ptychography Achieves Atomic-Resolution Limits Set by Lattice Vibrations,”は、Scienceに発表された。論文の筆頭著者は、Zhen Chen。

Mullerは「これは、単に新記録を達成しただけではない」と言う。「それは,解像度の究極的限界に効果的に至る領域を達成した。われわれは基本的に、原子がどこにあるかを非常に容易に見つけ出すことができる。これは、長年われわれが望んでいた多くの物事の新しい計測可能性を開く。また、年来の問題を解決する。つまり、サンプルにおけるビームのマルチ散乱をなくすこと。これは、1928年にHans Betheが設計したが、これまで、それは、われわれがそれをすることを阻んでいた」。

ピクトグラムは、材料サンプルからオーバーラップする散乱パタンをスキャンして、オーバーラップ領域に変化を見つけることで機能する。

「われわれは,レーザポインタパタンのように見えるスペクルパタンを追い求めている。そのパタンがどのように変化するかを見ることで、われわれは、そのパタンの原因となる物体の形状を計算することができる」と同氏は説明している。

そのディテクタは、わずかに焦点をぼかしている、つまりビームをぼかしている。幅広い範囲の可能なデータを捉えるためである。このデータは、次に、複雑なアルゴリズムで再構成され、ピコメートル精度の超高精度画像になる。

「これら、新しいアルゴリズムでわれわれは、われわれの顕微鏡の全てのボケを補正することができる。その結果,残った最大のボケ要素は、原子自体のグラつきとなる。それが、有限温度で原子に生ずることだからである。われわれが温度に触れるとき、われわれが実際に計測しているものは、原子がどの程度ジグリングしているかの平均速度である」(Muller)。

研究チームは、グラつきが少ない、もっと重い原子で構成される物質を使うことで、あるいはまた、サンプルを冷却することで、再びその記録を上回ることができる。しかし、ゼロ温度でも原子は、まだ量子ゆらぎがあるので、改善は、それほど大きくない。

電子タイコグラフィの最新形式により研究者は、個々の原子を3つの次元全てで見つけ出すことができる。原子は、他のイメージング法を使っていては、隠されている。研究チームは、異常構成における不純物原子を見つけ、その振動を一つ一つをイメージングできる。これは,半導体、触媒、量子コンピューティングに使用されるものを含め、量子材料のイメージングには特に有用である。同様に、物質が結合している境界における原子の分析にも有用である。

そのイメージング法は、厚い生体細胞、組織、脳のシナプス接続にさえ適合可能である。Mullerは、「コネクトミクス・オンデマンド」と呼んでいる。

その方法は、時間がかかり、計算量が多いが、より強力なコンピュータをマシンラーニングや高速ディテクタと同時に使うことで効率は向上する。
(詳細は、https://news.cornell.edu)